和桜

グレート・ビューティー/追憶のローマの和桜のレビュー・感想・評価

3.6
嫌みを言いながらセレブコミュニティに入り浸る初老の元小説家。初恋相手の訃報を聞いた彼は動揺し、空虚となった世界を彷徨いながら人生の意味を見い出そうとする。まさにイタリア上流階級の贅沢な悩み。
人生の終わりを悟り、紡ぎだされるのは最もな言葉ばかりなんだけど、なにぶん住んでる世界が違いすぎるから感傷に浸るまでには至らない。ただ最初こそ世界の違いに驚くんだけど、段々と愛着を感じてくるのが映画の魅力でもあって、そんな退廃的な世界すら肯定してしまうある種のロードムービーでもあった。
実際のローマは治安の面からも美しさだけでは語れない部分も多いけど、夜のローマや富裕層の日常を絶妙なカメラワークで撮っていく映像は本当に美しい。
良作ばかりのアカデミー賞国際長編映画賞(旧外国語映画賞)の2014年受賞作でもあり、今年の受賞作『パラサイト』との相性は抜群。
和桜

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