電気を消したら“それ”は来る―。
『ソウ』『死霊館』のジェームズ・ワン製作によるデイビッド・F・サンドバーグの長編映画監督デビュー作品。
恐ろしい“それ”のビジュアルはいかにも西洋的だが、“何もないのに怖い”感覚や “暗闇を怖がる”深層心理を突く演出は実に東洋的だ。
それはシンプルなストーリーにも云えることかもしれない。
観る者を単に怖がらせるだけでなく、ダイアナと呼ばれる化け物が“なぜ”暗闇にだけ現れるのか?、母ソフィー(ベロ) は化け物であるはずのダイアナを“なぜ”友人と呼ぶのか?、そもそも“なぜ”見えてしまうのか?…そんな疑問を見事に回収していく運びや次々と明らかにされる真実は、どこか東洋的な恐怖を思わせ、そのバランスは絶妙である。
夜明け前が一番暗い。
しかし、一度心の闇が明けてしまえば、とても悲しい物語だったことを知らされる秀逸なB級ホラー作品と云えよう。
65 2021