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PAN ネバーランド、夢のはじまりのmaverickのレビュー・感想・評価

3.5
あの『ピーターパン』の前日譚として描かれる物語。ピーターパンに繋がる設定や様々な小ネタにいたるまで、観ていて楽しい描写に溢れている。CGも美麗で迫力満点。わくわくするようなピーターパンの世界を見事に表現してあった。しかしながら本作は大コケで批判も多く、失敗作の烙印を押されている。これは分かるなと自分も思った。前述したように見事な部分はありながらも、全体的にはなんだかイマイチな非常にもったいない作品になってしまった。主人公ピーターを演じるのは、オーディションで抜擢されたリーヴァイ・ミラー。監督や他のキャストから絶賛されるように、彼はとても良かった。純粋な心を持ちながらもイタズラ好きな好奇心溢れる少年のイメージ。感情表現も多才で明朗快活。この子が後のピーターパンなんだなと納得出来た。敵である黒ひげ役にはヒュー・ジャックマン。悪役は珍しいが、ワイルドさがハマっており、さすがのカリスマ性が光っていた。他にルーニー・マーラ、アマンダ・セイフライド、カーラ・デルビーニュなど豪華な面子。キャラクター描写は深みがあり、演じる役者の卓越した演技力もあって不満はない。ただ展開が早すぎて物語の深みを感じれず、軽すぎる印象を与えてしまっているのが良くない。確かに本作にはコミカルな要素があり、テンポの良さは作品性には必須ではあろうが、もっと丁寧に時間を取って人間ドラマを見せても良かったんじゃないかな。本作に非常に深い物語性を持たせてあるのは監督のインタビューなどにしっかり表れている。ただ、それを作品内で上手く表現出来なかったのが惜しまれる。説明的にはしたくなかったから色々と省いたらしいが、ちょっと軽すぎる印象だなぁ。あと世界的に失敗した要因として、原作では先住民であるタイガーリリーの役を白人であるルーニー・マーラに起用したのがまずかった。監督はあえて人種で選ばずにそうしたそうだが、これは世界的に見て批判されるのは目に見えたことだろう。自分としてはルーニー・マーラのタイガーリリーは全然悪くなかったけど、批判されるのは理解も出来る。元は白人でない役を白人が演じることは、ホワイトウォッシングと呼ばれて非難の対象となる。『ゴースト・イン・ザ・シェル』の草薙素子をスカーレット・ヨハンソンが演じたこともあったが、やはり日本人としても白人に演じられると許せないものだろうか?例えば、るろうに剣心の緋村剣心をトム・ヒドルストンが演じたり、こち亀の両津勘吉をマーク・ラファロが演じたり?うーん駄目だ、逆に観てみたい(笑)。やっぱこういう人種問題はなかなか日本人には分からないが、ハリウッドでは重要すぎることなのだからもっと慎重になってもらいたかったな。自分としては酷評するほどの出来ではなかったから、改変問題でトラブルがなければもっと良い数字が出せたのかも知れないなと思う。政治とか人種問題を映画に持ち込みすぎるのも良くないなと思うけどね。
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