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眠れぬ夜の仕事図鑑のTSのレビュー・感想・評価

眠れぬ夜の仕事図鑑(2011年製作の映画)
3.0
【眠らぬ人間】70点
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監督:ニコラウス・ゲイハウター
製作国:オーストリア
ジャンル:ドキュメンタリー
収録時間:94分
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『いのちの食べかた』や『人類遺産』などの異色ドキュメンタリー映画を輩出してきたニコラウス・ゲイハウターにしてはやや物足りない作品。題材こそ興味深いのにもっと活かせなかったのかと思えてしまう惜しい作品です。タイトル通り、我々が寝ている間にも様々な職業に従事している人々がいて、それを淡々と映していくある意味ニコラウス・ゲイハウターらしい作品。監視業、葬儀屋、クラブ、売春宿など改めて見てみると夜な夜な動いている職業も多い。朝早く起きて、夜帰宅できる自分の職業と比べてしまうところもあり、どちらが良いのかは定かではありませんが、こういう人たちもいるから世界は回っているのだと痛感させられます。

ところで人間はいつから夜行性の能力を得たのでしょうか。人間は古来、朝早くに起き日中に活動し、そして日没後に就寝するという生活スタイルがあったはずです。ところが世界の一体化、グローバル化が進む毎に、24時間、つまり一日中世界が動いておかないといけない時代にシフトしていきました。長い間人間にはそういう遺伝子が組み込まれているはず。この急激な変化に果たして耐えれるのだろうか、とか余計なことを考えてしまいます。

便利な世の中になればなる分、その裏でだれかが汗水を流して、言い方を悪くすれば犠牲になっているのです。コンビニエンスストアなんてその典型例です。実に便利な店ですが、夜勤という人間の古来の生活習慣に反した行動を起こしている人間がいるのも間違い無いのです。そこを解消するために開発されてきたのが人工知能ロボなどの人間を扱わないものです。果たしてこれも良いのだろうか。。

彼の作品にしてはセリフが多い今作ですが、実に淡々としているため、彼の作風に慣れていないか夜の仕事によっぽど興味がない限りややきついと思われます。個人的にはやや物足りないくらいでそこまで悪くはないかな。。夜の営みも生々しく描かれているので鑑賞注意です。
TS

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