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柘榴坂の仇討の広島カップのレビュー・感想・評価

柘榴坂の仇討(2014年製作の映画)
3.7
「なんで欅坂46が出ていないの?」と隣にいる娘に訊くと、欅坂46は櫻坂46に名前が変わったのだという。昨年末の紅白を観ながらそのことを始めて知りました。
その年の日本の歌謡界の出来事を大晦日に知る事が私には結構あります。
娘によると長らくセンターを務めてきた女の子の一強体制に関してグループ内で不協和音が生じていたらしい。その為その女の子の脱退を期に改名をして再出発となったとのこと。

そんなことも"坂"繋がりで連想させられる長らく続いた徳川幕府が終焉を迎え、江戸から明治と時代の名前が変わる頃の武士の在り方を興味深く描いている。

桜田門外の変で井伊直弼の警護にあたっていた彦根藩士志村金吾(中井貴一)、襲った側の水戸藩士佐橋十兵衛(阿部寛)。井伊の仇討ちをしようと生き残った佐橋を10年以上も探し続ける志村。仇討ちを遂げようと志村が佐橋を探しているうちに時代は江戸から明治に移り変わっていく。
浅田次郎原作のフィクションで二人は共に架空の人物だが柘榴坂というのはJR品川駅のほど近くに実在する。
時代の流れの中で滅びゆく運命の武士だが武士道は残るという辺りが良く描けている話。

時代の波に飲まれ滅びゆく武士の苦悩を中井も阿部も好演です。
昭和から平成、平成から令和になっても人の生き方を激変させるこれほどの変化は無かったのに、明治維新というのは世の中の大変な変革だったのだなぁと庶民目線から見せられて改めて思います。
二人は勿論のことその家族の哀しみがしみじみとよく伝わるラストでした。
時代に翻弄されるとはこういうことです。
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