ひろぽん

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のひろぽんのレビュー・感想・評価

4.7
第2次大戦下のイギリスで、ドイツ軍の世界最高の暗号「エニグマ」の解読のため、政府は各分野から天才たちを招集する。その中の1人である天才数学者アラン・チューリングが独自の暗号解析を実践して最強暗号の解読へと導いていくが、そこには大波乱を巻き起こす壮絶な結末が待っているという実話に基づいた物語。


アラン・チューリングという天才数学者が世界最難関の暗号「エニグマ」の解読により1400万人の人々の命を救い、戦争を2年も早く終結させたと言われているイギリスの英雄のお話。

前半は解読不可能と言われる暗号をどうやって解読していくのかというテーマがとても面白い。アランは天才が故に周囲の人間からは全く協調性の欠けらもない変わり者として変人扱いされており、本来味方のはずの解読仲間なのに周りは敵だらけ。おまけに、解読が進まず何の成果も上げられないでマシン開発に勤しんでいると、態度が悪いことで皆からは邪魔者扱い。

多くの者は人の力で解読をしようとするが、アランはマシンによって解読しようと1人孤独に道無き道を行き、強い信念を貫き通して、結果が実るまでの過程が壮絶でハラハラドキドキしながら観ていた。また、クロスワードパズルを使い優秀な人材を発掘する方法も斬新で面白い。頭のキレるジョーンとの出会いが色んな面で良い方向へと影響がもたらされたのが素敵だった。

後半は同性愛者であるアランのLGBTQ問題を扱ったテーマで、不当に扱われ見るも無惨な世間の態度がとても重苦しくて辛かった。この当時のイギリスでは、ゲイは法律で処罰されるという今では考えられない壮絶な時代。彼にとっては色んな意味で本当に生きづらい時代だったのかもしれない。

彼らの活動は秘密裏に行われていた為生前に世間から賞賛されるわけでもなく、死後に評価されるということがとても悲しい。

それでも、数学という武器を使い大勢を救い、現在のコンピュータの基礎を作り上げ、未来にまで繋げる彼の生前の活動は本当に賞賛されるべきものだと思う✏️📖📐

実話に基づいた作品の中でもお気に入りの作品。面白いが少し切ない余韻が鑑賞後に残る。天才はいつの時代も理解されず孤独だ。


“時として誰も想像しないような人物が想像できない偉業を成し遂げる”
ひろぽん

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