あきらむ

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のあきらむのレビュー・感想・評価

4.2
カンバーバッチの演技力が最高だった。変人の役がとても多い彼、今回の天才数学者役もよくはまっていた。独特のどもり方やはにかんだ表情がたまらなくリアルだ。憎めない、しかし明らかに生きにくそうな人物、こんな人確かにいる。
作りとして面白かったのは、彼が常に誰かと対立している点。安らげる瞬間などほとんどないのだ。大きな敵は戦争と定められているが、警察から始まり、上司、同僚、学校、婚約者とも対立し和解もしくは離別し負ける戦いを続ける。唯一心の中の「彼」を除いて。
生き生きした描写はあるものの、最初から最後まで悲運で悲壮感が漂う。
後半の「命の計算」のあたりで彼らがどれほど精神をすり減らしたのか詳しく描かれないのが逆に良かった。描くことができない部分だと思う。だからこそ、警察との対話「イミテーション・ゲーム」にその部分を凝縮させたのだろう。味わい深い対話。
私的なことだけど500本目のレビュー。大学在学中に達成できて喜んでいる。