あきらむ

ジェーン・ドウの解剖のあきらむのレビュー・感想・評価

ジェーン・ドウの解剖(2016年製作の映画)
3.9
知人に勧められて鑑賞。
良いところ、解剖場面。
悪いところ、結局びっくり系描写に頼りすぎ。

ホラー映画は好きだ。
ホラー映画には、ねっとり系、びっくり系がある。と言えば、何となく雰囲気は伝わるだろうか。ああ、あとスプラッター。一点特化型もあれば、それぞれの要素が配合されている型の作品もある。

私は人とホラー映画を見る際、びっくり系なのに全く動じないよね、と何度か指摘されたことがある。で、え?びっくり要素あった?ああ、一か所くらい確かにあった気がするけど、てな感じである。黎明期インターネットのフラッシュ系びっくり、急な音や画面でびっくりさせる。確かに映画であれを連発されると萎えるし、私はそう言う系を好まない。怖がりに行っているわけで、びっくりしに行ってる訳では無い。

怖い、と、びっくり、重なるところもあるけど、違うところは、怖いは身体全体が震えて気もちがいい、びっくりは心臓を直接刺激され、一瞬の快楽になる、の違いかと思っている。

本作は半分ねっとり、半分びっくり、の要素で作られているように感じられた。もっと怖くしよう、驚かせてやろうってのが、びっくり要素に空けて見える部分が萎えるのだ。でも、ねっとりした要素もかなり多いので映画としては結構見ごたえがあって好きだ。謎を残す、結局解決しないのもまた、良い。

検死を行う解剖を専門とする職業の父子が主人公だ。日本だと医者がやる分野だと思うのだけど、海外や現代でなく、昔だと少し違うのかな。
女の身体を捌く時点て、わーきれいー!と感動とちょっとの怖さを覚える。正直びっくり要素いらないから、女の解剖だけで一時間とか撮ってくれと思う程クオリティが高い。グロやスプラッターは、あまり好きではない。撮り方としてもグロを前面に出してなくて、タイトル通り解剖を撮っているので、気持ち悪さはあまりなく、奇麗で怖い。解剖が良いと言っても、別にグロを求めて見ているわけでなく、臓器の美しさ、それから臓器や裏返した皮膚の中に現れるあり得ない謎、この辺が良い。自分の身体や他人の身体の中を裏返してみること自体殆ど無いことだ。

解剖の中で、本来死体を解剖する際にあり得ない臓器の状態が、次々主人公父子の目の前に展開され、同時に、検死を行っている部屋それからその部屋がある父子の居住地に怪現象が起こるという展開だ。この怪現象が、何だか上手くない。淡々と解剖の中の驚きを移して欲しいものなのだが、検死室だけで話を終えるとあまりにサイコ過ぎたり物語展開に欠けるのだろうか。