あきらむ

武器人間のあきらむのレビュー・感想・評価

武器人間(2013年製作の映画)
4.5
何もかもが良い。

クリーチャー造形、最高。ソ連軍の糞さ、最高。ナチス、最高。FPS視点、最高。ナチのマッドサイエンティスト、そりゃまあ、最高。私がマッドサイエンティストが好きだからなのもあるが。

ソ連軍の密使が、ナチの残党狩りの撮影の名目でソ連軍のあるチームに派遣されてある村を訪れるが、そこには不自然な死体の山、そして人外の強襲により、パニック状態の中、内部分裂が起こり……。

サイコホラーマッドアクション映画と言えばいいだろうか。
武器人間。まずタイトルが最高ではないか。

途中、博士が主人公に博士の創造物を”兵器”扱いされて、彼らは生きているんだ!と絶叫する。博士の手によって製造される武器人間は、人間を原料として、頭部や手足がすべて凶器や道具に置き換えられて、博士から見れば合理的に生み出された新人類である。彼らは博士にだけ従う。脳はおそらく博士の意志で、残されているが、脳自体改良がくわえられおり、彼らの自我の存在は不明である。

武器人間、動きは遅いが重機的で、狭い道をどんどん迫ってくるぞ。主人公がカメラで記録するという体の映像だから、ホラーゲームに近い臨場感がある。そして末期戦争状態のソ連とナチが双方虐められまくるのだ。人間関係も最悪になり、死に、気が付くと、え!?仲間が改造されているやんけ。でもいい気味、何故なら全員仲が悪いから。

いいぞ、もっとやれ武器人間!頑張れナチス!頑張れソ連!と見ていて勇気をもらえる。マッドサイエンティストの部屋も非常にお洒落。彼の創造物に溢れた彼の至上の楽園である。ここ、マッドサイエンティスト、つまりラスボスの部屋に辿り着くまで主人公の紆余曲折を考えると、癒しパートであり、涙と笑いが出て、止まらない。そして、もちろん、主人公はマッドサイエンティストと対面しその後の展開は、おそらく想像の通り。

マッドサイエンティストと主人公が表面上仲良く、記録に残す、取引を素という体で協力し合う場面は……美しい。お互いに孤独で全く互いを信用していない中での共同作業!最高!そして目の前で脳みその右脳と左脳を取り換えられる仲間!雑すぎる手術痕に、博士のセンスを感じる。

一番良いクリーチャーはパッケージにもなっている四足歩行蚊人間(これは今私が勝手につけた)遅い、でかい、強い。口から生えている針で人間の頭を刺すぞ。どうして口に?それはどうでもいい。愛嬌のある造形こそ至高。