あきらむ

mid90s ミッドナインティーズのあきらむのレビュー・感想・評価

4.6
友達付き合い、親子関係、兄弟関係、何だか全部うまくいかないようで、うまくいってるようで……。孤独を抱えている人にお勧めの一本です。
社会適合できない中で、全員が必死に社会に適合しながら、生きていこうとしています。泣けます。

主人公が可愛いショタ、スティーヴィーなのですが、やりきれない感情の中でぐれて、ヤンキー社会の中でもマスコット的存在としてうまくやっていきます。出てくる登場人物に強さ、かっこよさがありつつも、全員が社会的弱者であり、細い絆の上で、なんとか、なんとか、やっているんです。兄との関係も歪で、兄の登場場面は全て名場面です。あまりにも兄が不器用すぎて可愛い領域に達しています。絵面はバイオレンスですが。

スティーヴィーが特に暴走した感情を言語化できず暴走するのですが、関わっている人間全てがそれを見て、自分の何かと重ねて癒しと時にショックを受ける。なぜ、こう、なにもかも、全部うまくいかないのだろう、先が見えない、そのような時に、つい、なんでもいいから、群れをつくたくなる、そんな気持ちが私にもわかったような気がします。不良グループのメンバーひとりひとり、不良というくくりだとしても、あぶれもので、それをまとめているリーダーの優しさが、だんだんわかってきて、最後のシーンは特に、ジーンと来ます。

何となく勝手にガスヴァンサント作品かと思っていたら違いました。雰囲気が少し似ています。