SUI

花宵道中のSUIのレビュー・感想・評価

花宵道中(2014年製作の映画)
2.0
作中で、女郎は昼見世も張らずにふらふら遊び歩いているし、廓詞を一切つかわず、喧嘩をする際も現代的な口調で罵り合う。
艶も色気もあったもんじゃない。

それが、そういう独自の世界観なのか、火事で焼け出されて借り宅での営みだからそうなのかの判断はつかない。けど、今まで持っていた吉原のイメージとはかけ離れ過ぎていて戸惑うし、苦界に落ちた泥水稼業という割には随分快適そうに見える。
粋者として描かれている津田寛治演じる吉田屋の遊び方も、まるでただのがっついた浅葱裏。いくら半次郎に見せつけるためとはいえ、その振る舞いは粋もへったくれもなく野暮天もいいところ。

吉原って、現実世界にありながらその存在自体がファンタジーな世界観なのに、この演出の仕方だと舞台が吉原である必要がまったくなくなっている。
原作からそうなのかこの映画の演出だけがそうなのかは知らないけど、「粋」がわからない人はこういう作品に携わらない方がいい。
SUI

SUI