ベルサイユ製麺

聖杯たちの騎士のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

聖杯たちの騎士(2015年製作の映画)
3.1
テレンス・マリック!『聖杯たちの騎士』‼︎…ロゴが『宝石の国』みたいでかわいいね。(公式をご参照下さい)

テレンス・マリックと言えば、美しい映像、ポエティックなモノローグ等、独自の完成されたスタイルを持つ作家で有ると同時に、その強い睡眠導入効果でも知られています。例えば、よく目にする“脱走した猛獣が睡眠薬で眠りに落ちる”動画。あれは画面に映ってこそいませんが、実は猛獣の視線の先にテレンス・マリックの作品を流しているから耐えきれず眠ってしまっているのです。或いは、深夜の高速などで頻発する居眠り運転による事故。運転者は全員カーナビでテレンス・マリックを観ています。全員です!更にですね、涅槃仏。あれに目を開けているのと瞑っているものがある本当の理由なのですが…
…そろそろ怒られるかもしれませんね。そんな眠い眠いと言うのなら観なければ良いじゃんって話なのですが、大好きなバンドのメンバーがテレンス・マリックの大ファンを公言しておりまして、自分も諦めず観ておいた方がいいかなー?なんて。
しかしタイトル『聖杯たちの騎士』?…なんたる観念的な響き。騎士たちの聖杯じゃなくて?あ、タロットカードか。“杯の騎士”ね。オッケーオッケー。カードを捨てる順番が逆周りになるヤツね(違う)
ここはひとつ、ストーリーを事前に予想して答え合わせをしながら見ることによって眠眠を打破してやろうぞ。それがいい。そう決めた。

予想
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…主人公である騎士は、やんごとなき身分の父が死の淵に立ち、その座を禅譲されることになったのだが、思い悩んでいる。「俺にそんな大役が務まるだろうか?」(悩む髭面の騎士の周りをカメラがゆっくり何周もする)
…突如騎士の頭の中に精霊の声(大物女優)が響く。「これから旅に出て幾多の試練を乗り越え、伝説の聖杯を手に入れよ」と。
…騎士(名前は4文字以内。何かのメタファーであろう)は一人旅に出る。小川がチョロチョロ流れる森を抜け、砂漠の砂山の稜線を辿り、切り立った断崖を歩く。全てのシーンに空撮と、オーバーラップする大自然の驚異的な映像(海蛇とか蛇とか)有り!
…自問自答しながら歩く、霧深い大地。やがて(この辺り何度見てもウトウトして経緯が分からないが)聖杯を手にする。聖杯に写る自らの顔をみた騎士、剣を置き、防具を捨て歩き去っていく。空撮。エンドロール。

だいたいこんなだろう。マジでこれから観ます!私の『聖杯たちの騎士』で合ってるでしょうか⁈

結果!
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なんと、驚いた事に現代劇でした!
主人公リック(宇宙用であるの意、では無いと思う)は登り調子の脚本家。キャリア最大の破格のオファーを受けるが、どこか浮かない様子。ざっくり言って、ここに来て自分の事が分からない。
かつて父に聞かされた“旅する騎士”の物語と“自分探しの旅”を重ね合わせ、タロットカードになぞらえたタイトルをつけた8つのチャプターで構成されています。
彼の周囲にいる6人の美女たちを指して聖杯と呼んでいる模様…。独特の感性…。
セリフらしいセリフはほぼ無しで始終モノローグが響きます。曰く「息子よ…」とか「記憶…」とか…。マジ超テレンスだなー。勿論、海中の映像、衛星から見た地球、グルグル回るカメラなどは健在です。(最初ちょっと吹き出してしまいました…)

事前の予想とは、主にストーリー面で大きな違いがありましたが、雰囲気は結構想像通りでしたね。答え合わせをしながら観ることのメリットは、いつもより作品の細部に興味が持てるため、若干眠気が紛らわせる事です。若干?若干ということは…?うむ、寝たわ。
羊メーターは満点の5🐑です!やっぱ強えぇ!

…テレンス・マリック監督のファンの皆様には本当に申し訳ないです。彼の真摯な作品作りの姿勢は本当に尊敬に値します!きっと彼自身、作品通り誠実な人物なのでしょう。
…名前はテレンス・リーとMr.マリック合わせたみたいですよね。


いや、本当に申し訳ありません!!!!土下座して詫びます。…土下、ざし、ま…zzzzz…