ちゃんちゃん焼き

ヤング・アダルト・ニューヨークのちゃんちゃん焼きのレビュー・感想・評価

4.0
アナログ若者とデジタル中年夫婦。気分的には(映画的にも)デジタル中年目線で、若者には憧れると同時に振り回されるよなあ、と「わかる」が先立つ映画だった。
身体にもガタがきはじめて、同年代の友だちは子どもを持ち始めて、若い頃の自分たちとはちょっとずつ離れていく。そんな友人に違和感を覚えていると、自分たちを褒め称える若夫婦に出会う。彼らは自分たちがかつて捨てた古いものを大事にするひとたちで、その新しさに惹かれていってしまう。わかる……そういうことある。でも、彼らは同時にとんでもないカップルだったのだ。
嘘くささがにじみ出ていながらも、ジェイミー(アダム・ドライバー)の豹変ぶりが見事。小さなドンデン返しにやっぱり、だったり、そりゃないよ、だったり、面白かったと同時に中年夫婦に共感しているとつらくもあった。こういうことが自分の身に起こったらと思うとぞっとする、ある意味ではホラーな局面も。
人間そうすぐは変われないし、昔からの友人は大事にした方がやっぱりいいよね、と感じるのは万国共通の感覚なのか。ジョシュ(ベン・スティラー)はかわいそうなんだけれど、それでも夫婦仲は戻ったし、めでたしめでたし……と思いきや…?のエンドはちょっとひねりがきいていた。
ドキュメンタリー映画についてジョシュが力説するくだりは、監督自身のこだわりのように感じて、でもそれはあんまり理解されない考え方だし説得力はないよ。でもわかるよ、と肩を叩きたくなった。
いろいろたのしめたけれど、ベスト映画かと言われると違うかも。ちょっと大人の映画という感じ。