茶一郎

ヤング・アダルト・ニューヨークの茶一郎のレビュー・感想・評価

4.2
【記録】
 常にノア・バームバック作品では、大人に慣れないオトナ「オトナ子供」と活発的で大人染みた若者との対比が描かれてきましたが、今作はそのタイトル『ヤング・アダルト〜』の通り、今までの作品になくこの対比が顕著に描かれます。子供を産まずにやや倦怠期を迎えているオトナカップルのジョシュ(ベン・スティラー)とコーネリア(ナオミ・ワッツ)、一方で活発的でジョシュが失ったクリエイティビティを持っているジェイミー(アダム・ドライバー)とその妻ダービー(アマンダ・サイフリッド)のカップル。全編、この対比と若さに惚れ込む倦怠期夫婦の一部始終がコミカルに描かれていきます。
 やがて二組の夫婦の関係は、コメディを超えたドキュメンタリー映画界を舞台にした裏切り、大人なドラマの様相を見せてきます。「若さ」に勝てない中年の苦悩、大人になれない主人公がようやく最高の「若さ」を持った悪魔と対面することで大人になるというラストが印象的で納得のいくものです。
 ちなみに今作はドキュメンタリー映画作家をモチーフにした作品ですが、ノア・バームバックの次作はかのブライアン・デ・パルマを題材にしたドキュメンタリー作品『デ・パルマ』でした。
茶一郎

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