FumiyaIwashina

きっと、星のせいじゃない。のFumiyaIwashinaのレビュー・感想・評価

3.6
末期ガンのヘイゼルは親の勧めでいやいや患者の集会に参加するが、そこで義足のオーガスタスと出会う。二人はヘイゼルの愛読書の作者が住むアムステルダム行きを夢見るがヘイゼルの状態が安定せず、難しい状況に。
「(500日の)サマー」の脚本コンビということで、今作も人物描写が繊細。オーガスタスは状態も安定していて、イケイケの若者にしか見えなかったが、実際は愛情もあり、弱音をグッとこらえている好青年だった。ヘイゼルも自分の病気で彼を傷つけないようにする気配りと、それでも惹かれてしまう女心との葛藤が窺えた。
正直、途中までは登場人物が過剰に深刻ぶることもなく、アメリカのテレビドラマのような雰囲気も相まって、良くも悪くも気楽に観ていた。しかし、後半のオーガスタスのカミングアウトで一変。空港に家族を迎えに行くという何気ないことがこれほど幸せなことなのか。愛する人を失うことは自分が死ぬよりも辛いことなのかと。
生前葬をしたり、病気を受け入れて、きちんと思いを伝え、今を大切にする彼らはとても大人だった。
ラスト、真っ直ぐにヘイゼルへの思いを綴るオーガスタスのかっこよさに鳥肌が立った。