茶一郎

戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-01 口裂け女捕獲作戦の茶一郎のレビュー・感想・評価

3.8
【短】『コワすぎ!』シリーズという伝説の始まり。今や『貞子 VS 伽倻子』などメジャー大作監督として出世した白石晃士監督ですが、監督の原点は今作から始まる『コワすぎ!』シリーズがあり、このシリーズをもって監督を映画界きってのフェイク・ドキュメンタリー映像作家と呼べると思います。
 一見、B級映画的なルックの『コワすぎ!』シリーズ、しかしここには非常に素晴らしい挑戦的な映像と語り口があります。一作一作噛みしめるように記録していくことにします。

 さて、タイトルから出落ち感が漂う今作『〜口裂け女捕獲作戦』。視聴者から送られてきた「口裂け女」に関する投稿映像を元に、取材を進める工藤ディレクター、市川アシスタント、カメラマン田代が怪奇現象に巻き込まれる、その一部始終を描きます。
 何ともコメディとホラーの境界線を歩く白石作品らしい出だしから、しっかりと怖いお話、そして毎度、土着信仰に基づく人間の怨念にまつわるお話になるのですから驚きです。

 後半にサービスとして『パラノーマル・アクティビティ』的ホラーシークエンスもありますが、今作は一般的なフェイク・ドキュメンタリー・ホラーである以上に、後に大河ドラマ的に世界観を広げる『コワすぎ!』シリーズの序章という位置付けにあると言えます。まさしく「伝説の始まり」に相応しい一作です。
茶一郎

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