西村大樹

鬼の詩の西村大樹のレビュー・感想・評価

鬼の詩(1975年製作の映画)
3.0
芸事を描いた映画としては、ピカイチである。客のために狂っていく流れなど、見事である。
ただ、全体の構成が悪い。中盤までがタルいのである。己の芸を見つけ、その芸を磨き、さらに鬼になっていく中盤あたりからはかなり面白い。だが、中盤までは盛り上がりに欠けてしまっている。それは後半の芸道へと狂っていく様のフリだというのは分かる。分かるのだが、見せ方が今ひとつなのだ。
撮影と美術は見事。映像京都が協力しているだけあり、低予算の中でアイデアを出し美しい映像に仕上がっている。
芸を学びたい人には観るべきだと勧める。ただ、娯楽として映画を楽しみたい人には、正直勧めにくい作品である。
後半が素晴らしいだけに、ラストが素晴らしいだけに、中盤までのダルさが!
西村大樹

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