めしいらず

アメリカン・スナイパーのめしいらずのネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

ほぼ言いがかりだった大義なき戦争であっても始めてしまえば兵士らは戦わねばならない。どちらの国から見たって殺されたい者も殺したい者もいないのは当然だ。でも人は大勢死ぬし、その遺恨はまた別の悲劇と新たな憎悪を生む。国のため家族のため仲間のため。熾烈を極める戦場。でも国に帰れば遠い国の戦争などどこ吹く風の民の姿を目の当たりにするのだ。主人公はその戦果によって伝説と呼ばれたけれど、それを誰が喜んだだろう。本人はそうではなさそうだし巡り巡って彼は死ぬことになった。主人公に授けられた栄誉は家族を癒し慰めただろうか。そうは見えない。それは敵国兵にとっても同じこと。どちらにもやり切れない思いを残しただけだ。死なれた心の穴は何にも埋められない。敵国側が描かれていないけれど、アメリカ礼賛に偏らないのは誠実な立ち位置だと思う。ただ要所をかいつまんだ為だろうか、10年以上に亘る話である筈なのに、体感的には半年間くらいに見えてしまった。もっとじっくり時間をかけても良かった気がする。
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