Cisaraghi

あなたがいてこそのCisaraghiのネタバレレビュー・内容・結末

あなたがいてこそ(2010年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

いや、すっごい話だな、これ。28年前の復讐のためにヤクザでもなさそうな一家が集団で人を殺そうとする話を現代を舞台にしてやるなんて、どんなところなんだ南インド。どーなってるんだ、インドの警察とか司法は。殺人がタブーになってないように見える。
 
他のテルグ語映画でも似たような話があった。南インドの農村部では家同士の積年の抗争が今でもあって、しばしば怨恨による殺人にまで発展するが、警察が介入することなく有耶無耶になっている、というようなことが実際にあるのではないかと疑ってしまう。名誉殺人の話などもいまだに聞くし。そーいえば、最初の方で侮辱されたとかいって、初対面の人をあっさり一人殺してたな。何なんだ?血の気が多いじゃ済まない。

結婚は親の決めた許嫁とするとか、南インドの農村部はいまだに封建社会なんだろうな、ということが窺える。しかし、江戸時代の日本でさえ、武士はともかく、農村でこんなに大っぴらに人が殺されることがあったとは思えないんだが。

そして、主役の俳優さんの設定年齢は20代のはずなのに、お腹の出た小太りの中年男にしか見えず、主役を張る俳優ということがまずもって理解出来ない。ダンスのキレはあるが。そのため、相手役の女優さん(色白で生粋のインド人には見えない)と列車の中で恋が芽生えるらしいパートも、よく意味が飲みこめなかった。

ついでに他の男性もみんな濃い口ひげ生やしてて太め、年齢に関わらず全員中年のオッサンに見える。髪型もナゾ。あの口髭がなかったら、グッと親しみやすくなると思うんだけど…。

しかし、ヘタすると陰惨になりそうなとんでもない話なのに、燦々と太陽が降り注ぐデカン高原の風景はどこまでも明るく、樹木の緑も明るく爽やか、お話はコテコテのコメディー。お決まりの唐突なダンスシーンはボリウット映画に比べたら少々垢抜けなくて泥くさい感じがするけどそれが悪くなく、インド舞踊独特の動きに見応えがあってとっても楽しくて、ミュージック・チャプターがついているのが嬉しい!やはりフルでダンスが付いてるインド映画はお得感あります!
 南インドの車窓風景、農村部の立派なお屋敷とか、お寺とか、習俗風習など、見たことない珍しい映像が山盛り。夜空一面の星屑のような蛍が飛び交うシーンが美しい。あと、クライマックスシーンのあそこは一体何なのか?

男性の見た目に抵抗があるのと、あまりにも話がブッ飛んでいてついていけないせいか、途中2回も寝落ちしてしまったが、なかなか珍しくて面白いものを見た、という印象。主人公にもだんだん親しみが湧いてきたし。
  
エンディングにメイキングシーンが使われていて、ラージャマウリ監督も登場。実際に自分が演じて手本を見せていたが、私は監督が主演した方がよかったと思うぞ。あの口の悪い自転車が一番ラージャマウリぽかった。蠅は喋らないけど、自転車は喋る!
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