edi

フレンチアルプスで起きたことのediのレビュー・感想・評価

3.8
こんなに居たたまれない映画があっただろうか。
始終、胃袋をつかまれているようで吐き気がする。
これは観ちゃいけないヤツだったかもしれない。

男が永い年月をかけて築いてきた父親の権威、家族への愛、それが一瞬にして崩壊する。
このカタストロフィの予感に焦ってなんとか回避しようとするのだが、妻は喉首をつかんだ掌を緩めようとしない。


---以下、少々ネタバレ---


アルプスにスキーにやって来た家族。
ホテルのテラスで食事してると、近くの山で人工雪崩が起こった。
計画的なものなので大丈夫と思っていたら、結構な雪煙を上げてこっちに来るではないか。
あぶないっ!と思った瞬間、みんなを守るはずのパパちゃんは家族を残して一人で逃げてしまっていた。
結局たいしたことはなかったのだが、妻は不信感を抱く。

身に危険が迫った時の行動は、何も考えてなくて勝手に体が動いたのだろうから、それを責めるのはかわいそうかもしれない。
だが、問題はその後だ。
このおっさん、憶えてないふり(きょとん顔)したり、そんなことしてない(スキーブーツで走れるわけないやろ)と否定したり、雪崩も全然たいしたことなかった(だから家族を守るだなんて大げさな)と笑って済まそうとしちゃったのだ。

そういうわけで妻に芽生えた不信感は消えるどころか、どんどん膨らんでいく。

この後しばらくパパちゃんに対する責め苦が続くことになる。

友達や知り合いの前で吊るし上げられるパパちゃん。もう、見てられない。

なんか、いい感じに終わってるけど、私の予想では、これ、一生言われ続けるに違いないと思う。合掌…
edi

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