唯

グッド・ライ いちばん優しい嘘の唯のレビュー・感想・評価

3.8
難民の問題があることを知識として知ってはいても、実際にどういう生活を強いられどんな世界を知っていてどういった人生を歩むのかまで、私たちは想像ができていない。
想像を絶する程に凄絶な体験を経てもなお生き続けている、そんな人間がこの地球上に存在するという事実に、のうのうと生きている私は半端のないカルチャーショックを受ける。
丸腰の子供の命さえ平気で奪う理由は何なのだ??何も危害を与えてくるわけでもないのに、とか疑問に思うわけだけど。

アメリカに渡った彼らとアメリカの人間との間には、簡単には想像し得ないまでのカルチャーギャップがあるわけで。
全く何もかもが違う世界で生きることは、それまでの不便な暮らしより時に苦しいものであったりする。
全く知らなかったことを怒涛の勢いで目にし耳にし感じる中で、人は良くも悪くも変化して行くし、受け入れる側の人間もまた大きく変わって行くことだろう。

そんな中で彼らを結び付けるのは、目の前の人にただ笑っていて欲しいという想い。
人を動かす原動力とは、そんな純粋なものかもしれない。

スーダンで生まれ育った彼らの価値観(人類皆兄弟姉妹、祖先から頂いた命を大事にして恩を返す)は、とても根元的で自分の中にも取り入れたくなる。
こんなにも壮絶な経験をしてもなお、恩を返すことを使命として自分よりも他者を優先できる、そのことにも目を見張る。

エンドロールで明かされる、演者たち自身が難民であるという事実にまた驚愕させられる。
唯