茶一郎

海街diaryの茶一郎のレビュー・感想・評価

海街diary(2015年製作の映画)
4.4
『ここは自分の居場所じゃない、って思ったことない?』

 淡々とした是枝監督の引き算の演出、好き嫌いが分かれるタイプの映画ですが、僕は全編でボロボロ泣いてしまいました。

 是枝監督に一貫しているテーマの家族の再構成は漫画が原作とは思えないほど監督自身にマッチしていると思いました。相変わらず素晴らしい子役の演技演出、広瀬すずさんが恐ろしく自然な演技で輝いています。

 腹違いの妹である、すずがキャラの濃い三姉妹の家(鎌倉)に引っ越すことから物語は動き出します。このすずの視点はまさに三姉妹の日常を初めて見る観客の視点と重なりますから感情移入はバツグン。
すずの肌が他の姉妹の肌とは異なり、どことなく白く、この家族の中での異物感を『説明』なしに『説明』する辺りが上手すぎ…
無駄のない人物配置、キャラクターの実在感はもちろん、映画を見初めて最初はフィクショナルで違和感があった家(女子寮?)の違和感が自然と抜けていくのも面白かったです。

 鎌倉の景色の美しさは言うまでもなく、桜並木美しい、敢えて花火自体を見せず、海に映る花火の光を見せる辺り…にくい…美しい…

 四姉妹が、文字通り歩幅を合わせて歩き始めるシーンには涙無くして見られないはずです。
茶一郎

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