あなぐらむ

犯す!のあなぐらむのレビュー・感想・評価

犯す!(1976年製作の映画)
4.4
長谷部安春監督がアクション映画の文法とロマンポルノの接合点を探る様に撮りあげた一本。
蟹江敬三扮するレイプ魔に犯され、自暴自棄に男達に身体を預けるうち「おんな」に開花していく様を、新人(東映で織部ゆう子名義があり)だった八城夏子が見事に演じている。いや、長谷部監督により「撮られている」。小道具(胡桃、栗鼠、ナイフ)が効果的。谷ナオミは貫禄のゲスト。

レイプ映画であるが、寒々とした静けさが支配した映画。蟹江敬三扮するレイプ魔は一切感情が描かれない(伝わらない訳ではない)。ただ和合になる事が彼の目的ではない事は、谷ナオミの件で分かる。このディスコミュニケーションは「襲う!」で姿無きレイプ犯へと昇華される。本作では以降の長谷部作品の重要なアイコンとなる山科ゆりが蟹江敬三を癒していく。