もるがな

X-MEN:アポカリプスのもるがなのレビュー・感想・評価

X-MEN:アポカリプス(2016年製作の映画)
3.3
良くも悪くもハリウッド大作といった感じの映画。新生X-MENの三作目らしいスケールの大きさと、まさにオールスターといったお祭り感はいいのだが、反面、ストーリーは無難の一語で、個々のキャラクターの行動理由が不明瞭だったり、動機が妙にあっさりしていたりで、大量に出したキャラクターを扱い切れていない感じが漂っていた。見せ場の配置は均等だったものの、一度に扱い切れる人員の限界を超えた感じがある。

特に裏切りなどで立ち位置の変わるキャラクターにはそれなりの理由を用意しないと、単に優柔不断に映ってしまう。見せ場はそれぞれそれなりにあるものの、心理描写は全体的に薄めである。

そんな中でもチャールズとエリックのBLのごときラブストーリーは健在で、二人が絡んだ瞬間に映画は別の色を帯びて華やかに移り変わっていく。これぐらいの掘り下げが他にもできていたら超傑作になっただけに、色々と惜しい。特に前作チートキャラのクイックシルバーはマグニートーの息子という美味しい設定があるにも関わらず、あまり活かし切れてなかったのは残念でならない。ただ、クイックシルバーは本作の癒し系ミュータントであり、今までのシリーズに足りなかったコミカルさを存分に発揮していて見せ場も多い。彼が単に人を助けるだけの短編作品が観たいと思ってしまうほどに、彼の能力とキャラクターは良かった。パックマンは80年代ギークの嗜みで、力を持て余しているオタニートという役柄もハマっている。

今作の敵ボスのアポカリプスはミュータントの始祖という設定が霞むほどの弱さで、1000回転生したのがウソだろと思ってしまうぐらい悪役としての格が低い。設定上のチートっぷりと実際のキャラの乖離が激しく、見ててガッカリしたというのが正直な感想。終盤の総力戦は素晴らしく、前作のフューチャー&パストを踏まえてみれば中々に燃えるシーンだっただけに、部下の人選ミスも含めて、悪役の描き方には疑問しか残らなかった。

三作目らしい粗の多い作品ではあるが、派手でキャラ立ちはよく、シリーズ物としては及第点以上の作品。
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