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百円の恋のyumeayuのレビュー・感想・評価

百円の恋(2014年製作の映画)
3.5
百円♩百円♩百円生活♫

安藤サクラの演技が圧巻。
「万引家族」でもそうでしたが、今作でも徹底した役作りと演技力に、ただただ感服するばかり。

彼女が演じる主人公のクソ底辺ニートっぷりがやり過ぎなくらいリアル。
ボサボサの茶髪頭に、何日も洗ってなさそうなスウェットパンツとダルダルのTシャツ。そこから透けるデカケツと脇腹からはみ出した贅肉。
三十路を越えた大人としても、女性としても終わっている…。

しかし、そんな彼女がボクシングと出会い、のめり込んでいく内に身も心も研ぎ澄まされていく。
みるみるうちにブヨブヨだったお腹は割れ、顔つきもシャープになっていく。

実際にどのくらいの期間で撮ったのかは知りませんが、ほんと別人のように様変わりする。
これはマジで凄い。
日本でここまで役作りを徹底する若手女優は他に知らない。
安藤サクラって決して美人ではない(ごめんなさい)のだけれど、不思議な色気や魅力がありますよね。
僕も最近彼女の魅力に気付いた訳ですが、正直言って言ってもっと評価されてもいいと思います。

映画のストーリー自体は、簡単に言ってしまえば"女性版ロッキー"といったところ。
クソみたいな人生を送る主人公がボクシングをきっかけに奮起し、自分と向き合う話。

しかし、決して全てがうまくいかないところが今作のいいところ。
だけど結果よりも大事なのはその過程。ほんのわずかながら浮上のきっかけになったのは間違いない。
無価値だった人生が100円ぐらいの価値にはなったかもしれない。これは主人公にとっては、とても大きなことだ。

主人公の父親が居酒屋で呟いた一言が印象的だった。
「父さんみたいに年食ってから自信がないってのは、みじめだからな。お前はそうならなくて良かった」
この父親の一言が彼女の成長を物語っていると思った。

やっぱり自分が変わらなくては何も起こらない!
そう思わせてくれる作品でした!
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