未島夏

天空の蜂の未島夏のレビュー・感想・評価

天空の蜂(2015年製作の映画)
4.0
知識や認識が自分にはまだまだ足りないと思うので、この映画の社会的言及自体に深い感想を入れるのはあえて避けるが、その側面を人と人、一対一の血の滲む対峙に持ち込むまでの構図や登場人物全ての繋がり方がとてつもなく巧妙で、エンターテイメントの一つの答えに思う。

一つだけ言うなら、世間に起こる出来事を傍観する社会の大多数をひと束ねにして風刺するやり方はあまり好みではない。
学校でのいじめを傍観「するしかない」生徒を責めるのが、厳密には筋が違うのと同じだ。
意識に訴えるという事自体が無意味とも言わないが。

この映画を観て関心したのは、映画の始め、導入部分に無駄が一切無かった所だ。
それどころか、軽い伏線まで見事に置いて見せている。
これは地味だがすごく巧い。
人物の説明、キャラクターそのものやその人物が置かれている立場、環境、どれを取っても無理なく説明し切れている。
そんな整理された導入からあの禍々しいヘリが無人で飛び立つシーンに移行するのだから、観客は見入るしかない。

少しでも映画に好意のある人なら是非とも観に行くべき。
あまり安直に言いたくはないが、「傑作」。
未島夏

未島夏