とむ

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のとむのネタバレレビュー・内容・結末

4.9

このレビューはネタバレを含みます

個人的に長回しっていう手法が好きなのは、
演劇の世界に興味があったから。
そのせいか、長回しに対するこだわりも人一倍な気がする。

この「バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)」が作品賞を獲り話題となる中でも、
やはり気になったのは「全編長回しに見せる〜」という文句。
こりゃもう見るしかないだろうと数ヶ月前から楽しみに待っていたので、当然の様に初日鑑賞。
結果……



……やられた。
今年度どころかオールタイムベスト級の大傑作だ。
あと数回は確実に映画館で観るだろう作品。


個人的に予告編での魅せ方がうまい作品は傑作が多いように思う。
インターステラーもそうだったけど、必要以上に語らないのが上品な作品というものではないだろうか。
まさかあの曲まで使われないとは思わなかったけど…笑


前述したように、
長回しで得られる効果といえば演劇・舞台に通ずる「ライブ感」。
今作はそのライブ感をまさかまさかの演劇被せしてきた。
予告編だけの情報だと、この作品が「公演前から公演初日までを描いた作品」だとは毛頭思わなかったもので、
こりゃあ長回しで大正解!とひとりで納得していた。

そして長回しの使い方もうまい!
エマ・ストーンの流れる様な罵倒をアップで見せていくところ!
マイケル・キートンの顔が見えない分こっちも煽られる煽られる…


そしてまさか回想までワンカットで見せられるとは。
流石、ゼログラビティの撮影監督。見事な浮遊感&ライブ感。

ライブ感といえば、
挿入曲を演奏してる人が画面に映るのもまさに「演劇」だよね。映し方が露骨なのがまたイイ。


加えて長回しという手法は、演者の役者力が試されるのが倦厭される理由のひとつでもあると思うのだが、
これはもう、見事と言うしかないシーンの数々。
長回しだってのになんてテンポの良さだ!
特にラストのエマストーンの顔力(というか目力?)!
ポンポンポンポン進めておいてじっくり見せるあの引き。
もう、完璧。



「お前は大スターだ。やつらの退屈な人生を変えろ。驚かせ、笑わせ、チビらせろ。お前がやることはまさにそれだよ。骨まで震わせる大音響とスピード!やつらを見ろ、目が輝いてるぞ
みんなが大好きなのは血とアクション。しゃべりまくる重苦しい芝居じゃない!」

まさにこの作品を体現している名台詞。

そうだ。
芸術作品だって好きだけど、こういう子供の頃から熱くさせられる映画が俺たちは大好きなんだ!

一番好きな映画が「ジュラシックパーク」でも、「バックトゥザフューチャー」でも、「パイレーツオブカリビアン」「ロードオブザリング」「アイアンマン」、そして「バットマン」だっていいじゃないか!

誰だって子供の頃にジャンル映画で熱くなったはず!!
アートじゃないから否定するなんて、高慢なアホがネットでなんのリスクもなしに評論してるのと何が違う!?
おれはジャンル映画が好きだ!!
SF、ファンタジー、コミックムービー、最高!!

そんなことを思い出させてくれる最高の作品。
ラストで、「あの舞台」がバードマンを越しちゃってる(ウンコしてるバードマン=クソ野郎)けど、
おれはバードマンが大好きです。
さて、次はいつ映画館に観に行こうかな。
とむ

とむ