カテリーナ

レヴェナント:蘇えりし者のカテリーナのレビュー・感想・評価

レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)
5.0
オールタイムベスト

静かな音楽と共にエンドロールが始まると
感動の波が押し寄せる
あるシーンが頭に蘇り
涙が頬をつたう
それは後から後から溢れて止まらなくなった

やっと鑑賞に漕ぎ着けた 喜びとともに
スクリーンに無彩色の冬景色で幕開け
お墨付きのルベツキ の映像
サラサラと小川のせせらぎの音に
透明な水の艶やかさ なんて綺麗なの
暫し心洗われる
そこへ屈強な男と少年が銃を構えて獲物を狙い、銃声が風を切り裂く
『プリズナーズ』のオープニングを思い出しながら親子の物語りでもあるんだなと
心した

この後映画館で映画を見始めて途中で席を立つという信じられない衝動に駆られる瞬間が訪れる
余りの衝撃に居たたまれなくなるのだ 容赦無いイニャリトゥの演出
獣の恐ろしさを映画をもって知らされる
事になろうとは
このシーンで驚きの余り空いた口が塞がらずその後
笑ってしまった
人は怖さを通り越すと笑うものなんだという
人間の心理を改めて認識する

冬山の息も凍る極寒の中
健康な身体でも疲労を伴うほどの寒さを
瀕死の状態で生き抜く強さを
これほど真実味タップリに演じた
ディカプリオ
もう、唸るしかない
自然の猛威の中 己の身体と知恵だけで
サバイブするディカプリオは迫力満点
寒さから身を守る術を熟知している
人間離れした感覚の持ち主
だが、この状態で生き抜く為には
気力が必要だ
こうゆう時の人間の原動力は
怒り
彼を突き動かしたのは沸々と煮え滾る
息子を目の前で殺めた憎き男への憎悪だ
その熱量の違いこそあっても人は皆
怒りがどれほどのパワーを持つか
知っているのだ だから
彼の心が痛いほど理解できる

映画の前半で既に観客(私だけ?)は精神的に
疲労を伴う鑑賞となる
痛みと寒さがこちらに伝染してくるかのような圧倒的な絵

ヒリヒリする攻撃的な作風に
反比例するかのような冬の澄み切った空気に澄み渡る川の水 木立の天辺からの
舞い落ちる粉雪
ルベツキの風光明媚な映像世界をただ、見とれていたいと心から思う

生と死の境目を表現するのは

鐘の音は聞こえずただ、左右に揺れるだけだ
生の象徴は聳え立つ大木
自然の命の源でもある
生と死を表現して見事な映像に
素晴らしい音楽が重なる
今作は映像、俳優、音楽、演出
どれをとっても完璧ではないか
人間の深い哀しみと息子への深い愛情 などを美しい旋律にのせて表現する
奇跡のような場面がこの映画にはある

そしてその感動はじわじわとさざ波のように確実に心に沁みてくる
もう、これ以上の気持ちは無い

絶対にもう一度劇場へ足を運び
あのディカプリオに会いに行きたい
カテリーナ

カテリーナ