饂飩粉

アンダー・ザ・スキン 種の捕食の饂飩粉のレビュー・感想・評価

3.3
 宣伝の時点でとてつもないネタバレをしているのだけど、だからといって劇中で明らかになるタイミングが訪れても観ているこっちは「?」なわけで。
 っていうかこの映画を観る人はほぼ全員その"ネタバレ"を知っていて、あとは「主演のスカーレット・ヨハンソンが脱ぐ」という情報ぐらいしか多分仕入れていない(俺がそうだった)。
 すこぶるエロい物語を想像していたのだが、蓋を開けてみれば終始意味深な行動を取る我らがスカヨハに頭は混乱するばかり。
 一応初登場時からすっぽんぽんで、なんでもできる証拠とされる"二つの胸の膨らみ"と"その先端"もバッチリカメラに映っている。下の毛はボカシがあったようななかったような、暗くてわからないような。
 だがそれだけ。全裸はあっても濡れ場はない。じゃあなんでスカヨハは脱いでるんだと思ったところでようやくこの映画のタイトルが『アンダー・ザ・スキン』だということを思いだす。スキンね。だから全部見せてくれたのね。ありがとうね。

 で、映画そのものの見所なんて本当にスカヨハがこれでもかと脱ぎまくるシーンぐらいしかない……なんか所々スコットランドの風景が綺麗だったり、「印象的なカットだなあ」みたいなのがチラホラあったり。
 しかし肝心のストーリーが全くわからない。あらすじ読んでなかったら本当に意味わかんなかったぞ!
 結局この映画のスカヨハが何をしていたのかは、町山智浩の映画ムダ話で語られているのでそちらを参照されたし。聞いたところで「はあ?」って感じのストーリーだけどな!

 でもやっぱり映画を観て自分で映画について考えないのは勿体ないし、何より「俺はスカヨハの裸目当てで観に来たんじゃないやい!」というムッツリ精神が許さない。
 舞台はスコットランド。
 劇中では丁度スコットランドの独立を決める投票を間近に控えているというニュースがラジオから聞こえてくる。なかなかタイムリーだが、皮肉なことにスコットランドは独立できなかった。無念。
 この「独立」というキーワードに着目すると、スカヨハが道行く独身貴族を逆ナンパするときに度々「一人なの? 恋人は? 一人暮らしってどう?」と質問していたのを思い出す。
 そしてスカヨハは、そんな孤独な男ばかりを狙ってアレコレする。どこか「独立」とか「独りぼっち」みたいなロンリーウルフな精神を追い求めているような、そんな感じだ。
 劇中にはスカヨハの協力者としてジョジョリオンに出てきたスタンドみたいなバイク乗りが登場する。しかしスカヨハは途中からこのスタンドから離れようとするが如く行動し始める。
 この映画のスカヨハは「独立」に憧れていたのだろうか。しかしクライマックスでは「一人になるにはいい場所」にやって来たはずなのにとんでもない目に遭ってしまうわけで……
 スコットランドもスカヨハも、独立は難しいってことなのだろうか。少なくとも舞台をスコットランドにして、独立運動のニュースを劇中で流したことに意図があるのなら、そういうテーマがあるのかもしれない。
 うーん、わからん!次はまたLUCYみたいな気軽で変な映画に出てくれよな!
饂飩粉

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