まぐ

さよなら歌舞伎町のまぐのネタバレレビュー・内容・結末

さよなら歌舞伎町(2015年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ラブホの中という限定的なシチュエーションにも関わらず、展開やキャラクターにしっかりとした吸引力を持つオムニバス映画。殆どファンタジーに近いような偶然で個性的なバックボーンを持つそれぞれのキャラクターが一晩でホテルに集結し、飽きさせることなく心情の起伏を見せてくれる。
ねじれにねじれたそれぞれの事情が主人公の鳴らす非常ベルにより一気に壊されるシーンは見ていてとても気持ちが良い。

舞台がラブホテルなだけあって、「隠し事」がこの映画の面白みのキーになっている。登場人物は殆ど全員何かしらに対して隠し事を持っており、それが一番バレたくない人にバレることで展開が面白くなる。いくつも仕掛けられたこの爆弾達が終始どこかしらで爆発していたことが、最後まで飽きなかった大きな要因の一つだと思う。一つ一つのエピソードに割ける時間が短いオムニバスという形式にとても合ったやり方である。

吸引力の話をすると、エロをそれとなく配置できるのもラブホテルという舞台の強みだと思った。なんだかんだ言って、エロと言うのはとてつもない吸引力を持っている。
この映画は、エロシーンがかなりエロい。ただ直線的にエロい画を使っているのではなく、エロい雰囲気、シチュエーションが分かっている人が作った感じがした。前田敦子の「ねえ、しよ?」がこの映画の代名詞になっていることがその証拠だと思う。

どのキャラも好きだけれど、やっぱり韓国人のデリヘル嬢には特別な思い入れを持って見てしまう。体を洗うシーンは、(すこし長すぎたけど、)やっぱり良いシーン。
主人公も好き。なんだかんだ言って、最後にはヤケクソになったが、それにより新たな世界に一歩踏み出すことができ、この映画は主人公の映画だったんだなと再認識できる。次のステップに踏み出せないのは、今守っているものを手放すことが出来ないからなのだろう。共感できるテーマだった。
アンチの多い前田敦子だったが、個人的には声が良いと思う。庶民的で、少し気の強い女の子が似合っている。
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