海

アイ・オリジンズの海のレビュー・感想・評価

アイ・オリジンズ(2014年製作の映画)
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あいしているの愛のところが、月と綺麗のどちらに含まれているのかは分からないけれど、お酒で熱くなった頬を冷ましたくて上を向いたわたしに、気がついてくれたのは、あなただった。さよならを言われるのが怖かったから先にさよならと言ったわたしは、「どうして」に微笑むだけだったあなたと今、同じくらいにずるい。いつもわたしをかばうみたいにあなたはそこに居た。わたしの小さな声にも耳をすまして、部屋に吹き込む春の風すら見逃したりはしなかった。風にゆれたわたしの前髪にあなたの手のひらがふれ大丈夫かと聞いてくれたときの、心がきえてなくなりそうなほどに感じた安全をおもいだす。これ以上なにを知ればいいのかわからないくらい知りすぎたわたしにあなたはそれでも沢山のことを知らせ続けた。肩書きよりもあなたが何気なく口にした誕生日の数字のほうがずっと意味がありました、海見るとつい海ちゃんのこと思い出してます、海ってたぶん女の子だ。髪が伸び、爪を切り、傷を縫い、愛しあって、わたしたちはふたりともいつも、いつか消えていく体だった。ききたかったこと、いつまでもきけなかった。いつか巡り巡って返ってくるあなたからの答えと出会うとき、そのとき、わたしが見ているのは、きっとあなた無しでも美しい世界なんだろう。愛させて、もっと、あとすこし。あとすこし、愛させていて
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