ミサキ

クリムゾン・ピークのミサキのネタバレレビュー・内容・結末

クリムゾン・ピーク(2015年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

公開当時、あまり評判がよくなかった記憶があり、ずるずると見ないまま現在に至っていたのですが、dTVに配信されてるのを発見したので、これもいい機会かな~と見てみたのですが……も~……すごかった。2時間の映画なのに見るのに4時間ぐらいかかりました。10分ぐらいで休憩取らないとみていられないぐらい重たかった…。

私は基本グロやホラーは平気なタチなのですが、今作はちょっと普通のグロ・ホラーと毛色が違ったので久々にキました。なんですかこれは。まだ視聴して一日も経っていない状態でかなりどんよりした勢いなのですが、以下箇条書きにて感想を…。

・冒頭と結末について
幽霊はいる…と、イーディスの語り。冒頭血まみれなので「あーこれ最後のシーンなんだろうな」というのは分かったのですが、まさか最後に自分の経験を生かしてノンフィクション小説にしてしまうとは…。エンドクレジット始まったときにまさかと思ってましたが私たちが見ていた一連の話はイーディスの作品だったのですね。結局作中で書いていた小説はお蔵入りしてしまったんでしょうか。どんな気持ちで書き上げたんだろうか…。

・序盤の俳優陣の印象
トムヒの影のある紳士の演技が似合いすぎて悶絶ですよ! どうせホラー(ギレルモ・デル・トロ始めとしたスタッフたちはこの作品をホラーじゃなくてゴシックロマンスだ!と言っているらしいですが)だと思って構えていたので碌な男じゃないんだろうという先入観もあり心の準備ができていましたが、シャープ姉弟のろくでなしさが留まるところを知りませんでしたね。もはやあの影のある怪しさ満点な感じが逆に輝いてました。裏に絶対なにかあるだろこいつらは…という感じが出せるすごさ…。もちろん主役のミア・ワシコウスカの透明感のある人形のような造形もまた素晴らしい! 幽霊が出て来る、というファンタジーな世界観をより強固なものにしていると思います。髪がほどいてふわふわになっているときが可愛い。

・お父さん
なんとなく肌で感じるものがあったんでしょうけど、最初からのシャープ姉弟への冷たい態度に「これ絶対お父さん死ぬでしょ」と思いながら見ていたら思ってた以上にボコボコにされて死んだので見ていた私まで顔面押さえて唸りました。見てるだけで痛い!!! 私はなんとなくそうかな、と思っていたのですが、結局殺したのもルシールでしたしね。顔を写さないのは良いミスリードでした。怪力だなルシール。いや、それにしてもあんな顔が陥没するまでガンガンするなんてひどいよ~。最初剃刀にやたらとカメラが向くのでこれで切られるのでは!?と構えていたのに斜め上でした。そらあんな無惨な姿になったお父さん見たら泣いてまうわ…娘を護ろうとしたのにね…。

・ワルツのシーン
トムヒとミアのダンス、視力が6.0ぐらいに回復したのでは?というぐらい眼福でした。見てて楽しい。あのシーンだけ繰り返し見てたい…。トムヒの足の長さには毎度感動させられますが今回も変わらずでした。同じ人間とは思えない…。ところで蝋燭を握りながら踊っているの、冷静に蝋が垂れてきて熱くならないのかな~と思いながら見ていたのは私だけでしょうか。

・お屋敷
昼には使用人がいるのになぜか夜になると三人だけになるのはなぜ…。というかどんだけ大きい屋敷でもさすがに天井に穴開いてて雪が入り込む家は嫌だろ!という冷静なツッコミが。しかも旦那と小姑と三人暮らしもなかなか気まずいモノがありそう。なんて先が思いやられる結婚生活の始まりなのか…。ところでお屋敷についたばっかりの突然のお姫様だっこ、突然すぎて??ってなりますけど全乙女の夢ですよね。ロマンチック。

・ゴーストたち
未だになぜお母さんがあんなクソ怖い幽霊になってまで「クリムゾンピークに気を付けろ」と言いに来たのかがわけわからないんですが、娘への優しい忠告ならもうちょっと綺麗な幽霊になって出て来てほしいですよね(笑) 幼い娘のトラウマと化したお母さん。そもそもお母さん、なんでクリムゾンピークのこと知ってるのという疑問。

その他の姉弟の犠牲者である頭を割られたお母さん&過去の奥さんたち、『クリムゾン』というぐらいですから「赤」に重きを置きたかったのはわかるんですが、なんか思ってた以上に赤くて目立つ幽霊だったので怖さが半減していた気も…。お母さんの幽霊がお風呂場から出てくるシーン、日本人なら「めちゃくちゃ足がある!!」とちょっと笑いどころになりそう。いや、しかし全体的に幽霊はミアと同じ立場でどちらかと言えば味方側のはずなのになんて優しくないんだと思ってしまいました(笑) もうちょっと気をつかってくれよ。

・濡れ場シーン
前後のシーンは置いといて、ここのレビューにもかなり書き込みありますがマジで「トムヒの尻が美しい」この一言につきますね。すごい。生まれたての赤ちゃんか。(盛り過ぎ)

二度目の濡れ場、ここをどーんと見せたかったんだろうな~!という感じで構図が練られてますね。でも本番じゃないんかい! 若干肩透かし感。

・ルシールとトーマスの関係性
まあ序盤からなんとなく察してたけど最後の最後に「子供の頃から完璧だった」というぐらい愛してた弟をぶっ殺すお姉ちゃん怖すぎて草。まあでも私がルシールの立場だったらたしかにあんな弟いたらめちゃくちゃ可愛いとは思いそう…現に私は妹がいますが、とっても可愛いので。異性の兄弟はいないのでちょっと違うのかもしれませんが。

ところでずっとルシールを見て育っていて、歴代のカモであった元奥さんたちにもなびかなかった(?)だろうに、なぜイーディスには惹かれたんでしょうか。決定的に心を動かされるシーンがない気がしてそのあたりはうーん。特に他の方の考察とか読んでないままにこれを書いてるので、また後で調べてみようとは思いますが個人的には「トーマス流されすぎでは」と思いました。まあでもあんな怖いお姉ちゃんいたら流されたくもなるでしょうけど。

ところでこの二人、最初から「金目当てに近づいてきたやつらめ~!」という扱いを受けていたので、実はそう思わせといて幽霊も関係してるなんか不可思議な存在の二人、ってオチがあるかと思っていたのに普通にマジで金目当てに近づいてきたヤバい生きた人間だったのは一周回ってホラーだったのかも。

・アランが来てからの展開
アラン、いい男すぎる! イーディスがいなくなった後のアランの動向を見ながら「はやく助けにきて~!!」とずっとハラハラしてました。吹雪の中、歩きで4時間かかると言われても「急がなきゃな」と単身乗り込んでいくところにも愛を感じてなんちゅーいい男だよ!と感動していたのですが、微妙に間に合わなかった挙げ句刺されて息も絶え絶えというとんでも展開に。

この一連の騒動、もちろんルシールが一番怖いし悪いなとは思うんですが、男性陣は少し頼りなかったですね。アランは刺されて血まみれでむしろお荷物と化し、トーマスもトーマスで最後心を入れ替えたかと思ったら即死亡…。頼りにならねえ~! ところでトーマスが思いっきり顔を刺されてたのが個人的に一番心にキました。ぎゃ~推しの顔が~!って叫びました。

その後トーマスに裏切られたルシールが奇声を上げてイーディス襲い掛かってくるところは思わず声を出して笑ってしまいました。最後は吹雪の中で女同士の一騎打ちが始まるぞ~!とワクワクしたところで突然のトーマスの幽霊。展開が怒濤…。あとでWikipediaのあらすじを見たら「イーディスを守るために出てきたトーマスの幽霊が~」と書いてありましたが、あれって助けにきたんですかね? うーむ。ただ出てきただけだったような…。出てきただけでルシールの動揺を誘ってたのでそれでもいいんですけどね(笑) 死にたてだからか他の真っ赤な幽霊たちと違うトーマスの幽霊にも若干違和感がありつつ。いやーしかしトムヒは幽霊役も美しいですね。映える。

ルシール、自分が殺したイーディスパパよろしくイーディスにスコップでボコ殴りにされて死にましたが、ここでみんなが思ったであろう一言。「掘削機に巻き込まれるんじゃないんかーい!」

最後はアランが呼んでいた人々が向かって来る中で生き残った血まみれのイーディスとアランでエンド。登場人物の中では一番アランが好感度高かったので生き残ってくれてよかったです!

こんだけ色々書いてますが、内容がよくわからないというか、幽霊が見えるという設定なのに特に幽霊と意思疎通がとれるわけでもなく、無意味にビビらされただけだったと思うので(一番のホラー要素はやっぱりルシールでしょうし)ストーリーは正直ペラペラかなあ~という印象でした。が! やはり一番の見所は画の綺麗さでしょう。どのシーンを切り取っても絵画のような美しさ。舞台や小物の一つ一つが物語を引き立てています。演じる俳優さん・女優さんもどなたも絵になりすぎる方々ばかりなので、見ているだけで飽きないです。特にイーディスとシャープ姉弟は!

今、1日1本は映画を見る事を目標にしているので、毎日何見ようかな~と色々悩んでいます。そんな中、「そういえば推しが出てるのにまだ見た事ないな~」という理由で選出してしまったのが今作だったのですが、そんな軽い気持ちでみるものではなかったです(笑) 見終わったのが日付が変わったぐらいだったのでその後すぐにベッドに入ったのですが、ずっとズーン…と気が沈んだままでなかなか寝付けませんでした(笑) 基本映画は字幕のあとに吹替でも見てるんですが、これはしばらく期間を置いて気分が回復してからまた吹替版でも見ようと思います。と、このように視聴後の余韻の残り方がストーリーが軽い割にえげつないので、現実逃避にはぴったりの映画かと。
ミサキ

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