QTaka

押し入れ女の幸福のQTakaのレビュー・感想・評価

押し入れ女の幸福(2013年製作の映画)
3.7
「ただ見守っているだけでも、見守られている人にとっては大きな意味があるんだ」
時を超えて見守られる人々と、見守った人の物語。
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ブラウン管テレビと銀塩写真。
そこは、時を超えた仮想空間。
でも、そこに届けられたのは、現実の数々。
彩りの鮮やかな食事も、「それじゃまた」の言葉も。
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永遠に続くかと想われた時の流れが突然終わる。
彼女の存在はいったい…
彼女を見守った人々は、見守られた人々で。
そうやって生きているのが私たちなんだね。
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この”押し入れ”って、アレだよね”お仏壇”。
そこに有るだけで、存在するだけで安心する。
突然終わった現実世界は、何から発想しているんだろう。
着実に引き継がれ、大切にしてきた”押し入れの存在”が有りながら、現実の世界は脆く、崩れ去ってしまったのだろう。
それは、私たちが近年目にしてきたことであり、経験してきたことでも有り、あるいは想像し得る範囲にも有ることである。
人の営みの美しさや尊さを確認しながら、最期の落とし所がなんとも手厳しい。
そこをすくい取る優しさを主人公の女性の姿に求めたくなるのは、皆の感じるところでは無いだろうか。
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2020/10/02
シネマディスカバリーにて鑑賞
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020
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