QTaka

そこにいた男のQTakaのレビュー・感想・評価

そこにいた男(2020年製作の映画)
4.0
『34分。』
そんなに短いはずが無い。
もっと、ずっと多くのものを見た気がする。
そんな短編だった。
(中身は、フルサイズ以上だった。)
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突然始まる惨状。
そこへ至る女と男の物語。
なのだが、冒頭からがっちり捕まれて、スクリーン(PCモニターだけど)に引きずり込まれた感じだ。
騙されてんなぁ〜って思いながらも、唯々画面に引き込まれる。
ほぼ、二人だけで進む物語だけど、二人だけを見た気がしない。
二人を含めて、その時間、空間、生活にどっぷり漬かった感じがした。
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映画の中身について話すと、ネタバレっぽくなっちゃうので、一点だけ好きなシーンをあげると。
ラストシーン。

日だまりの車の助手席で目を覚ます紗希。
翔の姿を車外に探す。
その視線の先に、自販機の前で、半ケツを出しながらコインを拾っている翔を見つける。
陽射しを眩しそうにしながら、その姿に優しく微笑む紗希。

それは、紗希が夢見た日常。
それは、紗希が見た白昼夢。
それは、スクリーンの前の私も望んだ風景だったかもしれない。

本作は、以前にクラウドファウンディングで応援していました。
オンライン試写イベントも有りました。
その頃の感想です。
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今回の視聴の前に、トークイベントが有った。
プロデューサー四宮隆史、片山慎三監督、出演の清瀬やえこさん、安井秀和さんがお話しをくださった。
本編視聴前だったが、面白い話を聞けた。
本編観賞後に、このトークイベントの内容を思い返すと、笑いが込み上げてきた。
オーディションに、大幅に遅刻して登場した安井さんについての話だ。
そのオーディションへの登場が、映画みたいだったという。
それは、もしかして、この映画の脚本を意識しての事だっただろうか。
まさしく、安井さんの演じた”翔君”がそういうキャラクターだったからね。
このキャストにそのままの姿で登場した安井さんってことだったんだね。
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清瀬さんが、片山監督の前作『岬の兄妹』のオーディションに応募されていたということ。
妹役だったということだけど、本作を見て、もしかしたら清瀬さんの『岬の』も有りだったかなと思った。
本作では、取り調べの刑事役から、主役へ変更されたという話も合った。
作品を鑑賞してみて、「そっちも有りか?」などといろいろ考えてしまった。
こういうキャスティングの裏話なども、映画とセットで聞いてみたい話の一つだ。
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