QTaka

の方へ、流れるのQTakaのレビュー・感想・評価

の方へ、流れる(2021年製作の映画)
3.5
お久しぶりの唐田えりかさんでした。
男女の掛け合いは、互いに揺れながら、バランスを維持する、氷上の綱引きのようだった。
それは、互いを演じつつ、夫々を見つめつつ、理解するというより、攻撃的で、受け入れるというより、突き放す。それでいて、ちょっと魅かれ合う。
男は、女に引きずられるようで、女は男を見下ろすようで。
そんな二人の距離が、いつの間にか近くなり、綱引きの綱が絡まり始めたところで、この掛け合いが終わる。
男は、あらかじめ予定された女に会い、女は少し後悔し、落胆し…
二人の掛け合いは、まるで白日夢のように雲散し、二人は夫々の現実へ吸い込まれていく。
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”会話劇”のおもしろさは、その会話にも有るのだろうけど、その前後、その二人になる導入にも、そしてその二人が夫々に戻るところにも充分配慮されていなければならないんだと思った。
お店の留守番をする導入部で、何故かお客さんがお店に入ってこないシーン。
お店の前に出て一服しようとすると、店の入り口には”CLOSED”、そっと”OPEN”に掛け替える。こんなーシーンが、「さあ始まるぞ!」と思わせてくれる。ワクワクの始まりだ。
夢から覚めるラストへの場面で、公園で男を見失うところから、「どんな終わり方をするのだろう?」と不安になるのだが…
男も、また女も、夫々の現実へ、パートナーの元へ戻り、夜の帳に消えていく。
「あ〜、終わったんだな。」と思わせてくれる。
終わって、ふと考えてみる。
この白日夢は、ただの妄想だったのだろうか?と。
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面白く見せていただきました。
今回は、クラファンのリターンという事で、オンラインで鑑賞させていただく機会をいただきました。
竹馬監督の作品、面白かったです。
これからも、楽しみです。
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