カテリーナ

ドリーム ホーム 99%を操る男たちのカテリーナのレビュー・感想・評価

4.0
マイケル・シャノンとアンドリュー君のケミストリー

不動産ブローカーと共に数週間を過ごして
行動や仕草などを徹底的に頭に叩き込み臨んだマイケル・シャノンが冴え渡る
そのマイケル・シャノンに翻弄される
シングルファーザーの無職のアンドリュー君は幼い子供と母親と3人で暮らす想い出深い家から強制撤去を命じられる
警官が介入し貴重品だけを持って直ちに2分以内にこの家から出てくださいと厳しい言葉を浴びせる 嘆いても喚いても許されず
それでも抵抗していると今度は不法侵入だと脅されるのだ 母親役のローラ・ダーンの眉毛がハの字になって慌てふためき苦悩する様が悲しいやら 同情を誘う 結局諦めて荷物を家の外に運び出すまでのシークエンスは非常に緻密で一部始終をカメラが追いかけとことん細かく描く それは監督がフロリダでリサーチした被害者の生の声が色濃く反映されているのだ その彼らを代表する
アンドリュー君の真骨頂
眉間にシワを寄せて苦しさと絶望に身をよじる 本物の彼等の身に起きた事実を体現する

監督はアメリカ系イラン人のラミン・バーラニ 聞きなれない名前 しかし 彼は
当時リーマンショック後の住宅事情を
フロリダに飛んで自らリサーチした
一体何が起こっているのか?
住宅ローンの返済ができず 強制撤去を余儀なくされる低所得者 途方に暮れる彼らから
生の声を拾い 驚くべき事実に驚愕し
今作の脚本を書き上げたらしい
アスガー・フォルハディーと言い ラミン・バーラニと言い イラン人は 問題定義を掲げてくる骨太な男性が多いのかしら

サブプライムローンの落とし穴にはまった
低所得者たちは抜け目ない不動産ブローカーの金儲けのカモでしかない
たった2分で住み慣れた家を捨てろと強制される 彼らの心情など微塵も考慮しない こちら側からしたら悪魔にしか見えない
なのに、マイケル・シャノンの抵抗する彼らを見つめる表情の中にそこはかとない悲しみの色が宿る が、蔑んでいるようにもとれる彼の演技に唸るしかなかった
何処かでそう望んでいる自分がいたが
簡単に答えは見つけられない
カテリーナ

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