茶一郎

わたしに会うまでの1600キロの茶一郎のレビュー・感想・評価

4.4
『そこに道があるから』


ドラッグとセックスに溺れ、離婚、母の死、自己嫌悪になった主人公が選んだ道は1600キロを歩くことだった。

ロードムービーのように見えながら、(その要素はあるものの) ロードムービーとは異なる。
主人公が『歩くこと』で自己に到達する様子を最もシンプルに描いた作品だと感じた。


『勇気が君を拒んだらその上を行け』

全編を通して、現在の主人公と主人公の記憶とを食い気味にいったり・きたりする。
また、何故彼女が歩き始めたのか、をミステリーのように時系列をずらし見せる脚本が興味の持続を保っている。
(よく考えたら現実では、記憶と今の自分が意識の中で行ったりきたりしているんですよね)


原作はノンフィクション。
実際に1600キロを歩いた原作者が出演し、主人公(実際の本人)と交わる瞬間は思い返すと何とも言えない気持ちになる。
主人公が母を受け入れるシーンには涙。


主人公が歩く場所を『トレイル(道)』を選んだのが印象的。
苦しくないのかな?と思って見ていたけど、主人公が『道』を歩き終え、戻る人生には『道』なんてないんですよね…

間違いなく『歩く』勇気をもらえる今作。
僕も歩かないとダメだよな…ヒェーしんどいー
茶一郎

茶一郎