歳の離れた盲目の夫（長島隆一）に献身している夫人（志麻いづみ）が、夫の前妻の長男（真田陽一郎）から求愛行為を受けてしまう。フロイト先生の言うところのエディプス・コンプレックスを題材にしている、日活ロマンポルノ。

前妻を失ったショックで盲目になった夫と、ストーカー化していく前妻の長男が、「座頭市エロバージョン」ともいうべきバトルを繰り広げる。視覚以外から周囲の変調を掴み取ることができる夫が、長男によるイタズラをかわしていく。

志麻いづみが日本舞踊の先生という設定のため、和服美人のエロスが満載になっている。長男の同僚役を演じる小川恵が、三角形の目をチャームポイントにしながら、健やかな芝居を見せてくれるところも嬉しい。

後半部からメロドラマ路線に完全シフトするため、愉快なテンションが後退してしまうが、ロマンポルノの様式美を単純に楽しむことができる。

夫人と言えば志麻いずみ。座頭市パパvsストーカー長男の戦い。上野でのスカイライナーが懐かしい。

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肝心の日本舞踊の師匠と年の離れた結婚をした若き名取のヒロインと年齢が近い義理の息子との情事に溺れる話は息子のマザコンの度合いや義母に対する甘えがあまりにも気持ち悪すぎて男ですらドン引きしてしまうし、嫌よ嫌よと言いつつも息子に対して身体を許してしまうヒロインもあまりにも男性の妄想に従順すぎて気味が悪い。

それでも桜の花びらを軸とした小沼美学は健在でそれなりに堪能できるし、何より当初は単なる義理の息子の彼女という立場だった小川恵が主人公二人の近親相姦ドラマを気持ち悪いとストレートに気持ちをぶつけて彼らに自立を促す展開が観客の居心地の悪さを代弁しているようで胸がスッとする。ラストの小川恵のセリフなんてかっこ良くて、切なくて、共感してしまう。

息子と後妻との関係を薄々と気づいているものの、敢えて知らないふりをして妻に接する師匠が大人。そんな彼が息子の恋人から二人のことを忠告されてもとぼけて、それでいながら彼女に息子をよろしくお願いしますと頼むシーンは役者の熱演もあってこの映画いちばんの名場面に。

実際に名取だった志麻いづみの流麗な踊りの演技も見所の一つ。