かんげ

ゴジラ キング・オブ・モンスターズのかんげのレビュー・感想・評価

3.5
前作の感想は「ちゃんと怪獣映画だった」でした。

日本の描写がちょっと…とか、水爆実験で誕生したという設定をチャラにしちゃうのアリ?とか、言いたいことはたくさんありましたが、「ちゃんと怪獣映画」というだけでも十分でした。

本作も「怪獣映画」という点では、めちゃめちゃ楽しめました。

造詣という点で個人的にはゴジラ以上にカッコいいと思うキングギドラは、三頭にそれぞれキャラクターがあるという点が、新鮮な演出でした。もうちょっと初登場シーンに見せ場を作ってほしかった気はしますが。

逆に登場シーンがよかったのはラドン(ロダン)。火山から登場し、炎の翼もカッコいい。ただ、翼竜だけに立ち回り方が、文字通り「風見鶏」。今回、ちょっとお笑い担当の役回りでした。

モスラには癒されますよね。美しいクイーン・オブ・モンスターズでした。意味ありげに双子が出てきましたが、「絡まんのかい!」というツッコミが方々から聞こえてきた気がします(いや、双子がいたことにさえ気づかなかった人も多いのでは…)。

怪獣の王として君臨するゴジラは、やたらカッコいいです。今回、表情や所作などには、特に「王」としての立ち居振る舞いを意識されていたのではないでしょうか。あと、やはり大見得を切るところね。ここは、分かってらっしゃる。

ゴジラのテーマだけでなく、モスラのテーマまで惜しげもなく使われていて、アガります。


ただ、人間パートがねぇ。

まあ、怪獣映画なので、人間はオロオロしていればいいのだけれど、変にドラマを見せようとするので、ワケが分からなくなっている気がします。人間パートを半分にして、その分、大怪獣バトルにしてくれればよかったのに。

エマ、あなたはいったい何がしたかったの? キング・オブ・モンスターペアレンツですよ。

そして、オキシジェン・デストロイヤーの使い方がカジュアル過ぎない? 魚をプカプカ浮かすような表現で済む、生ぬるい兵器じゃないでしょ、それは。

核爆弾の扱いも、やはり雑。芹沢博士よ、あなたはそれでいいの? あなたのお父さんが何で命を落としたのか忘れたわけではないよね? 

そういう雑さも含めてこそ「怪獣映画」とは言えるけど。

特務機関「モナーク」は、怪獣たちを「タイタン(巨神)」と呼んでいたり、そもそも「モナーク(君主)」という名前から、怪獣こそが地球の君主であり、その頂点であるゴジラを信奉するカルト宗教「ゴジラ教」がその正体なのではないかと思ってしまいます。

そう考えると、前作の「ビキニ環礁水爆実験は、実はゴジラ討伐作戦だった」というのも、実は虚偽情報で、最初からゴジラに気合いを入れようとしていたのではないかとさえ思ってしまいます。まあ、それなら前述の芹沢博士の行動は、彼らにとってはとても尊いってことか…。

そういう意味では、今回の敵役である環境テロリスト(ということになっている)グループは、宇宙からやってきたとされるキングギドラを崇め奉るという意味で異教の民であり、まあ、確かに敵だよねぇと納得できないわけでもないです。

でも、信仰の対象が違うだけで、やってることは同じだと思うんですけどね。

そして、「怪獣なんて、バンバン駆逐すべし」という勢力が目立たないのが不気味。いや、この後のシリーズでそういう人たちが台頭してきて、メカゴジラを作るのか?

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