夫の釈放を待望しているバー経営者の夫人（谷ナオミ）が、従業員の義弟（日高由央）とその恋人（亜湖）の援助を受けながら、ヤクザ（高橋明）との関係を絶とうとする。人並みの夫婦生活を得ようとする夫人の奮闘ぶりを描いている、日活ロマンポルノ。

主人公トリオが、歪な三角関係に陥りながら、狡猾なヤクザ組織に抗っていく物語。キーマンである義弟の存在感が素晴らしく、「兄嫁を自分のモノにできない悔しさ」と「兄と再会させてあげたい願望」が混交する、二律背反の状態を見事に表現している。

また本作では、谷ナオミが男を責める側になるという貴重なシーンが登場。人前では毅然とした態度を取っている弁護士（大河内稔）が、谷ナオミの目前でマゾヒズムを表出。大いに笑わせられるが、当人は超真剣に楽しんでいるので、羨ましくもある。

谷ナオミの濡れ場は、前半部の白黒ショーと終盤の凌辱プレイに集中。「夫の亡霊との交合」を示唆させながら、恍惚の世界に没入していく過程が、ヒジョーにエロティック。谷ナオミならではの艶技を堪能することができる。

新宿の歩行者天国が懐かしい。今見ると逆マジックミラー号が行く。白黒ショーって本当にこうだったんだろうか？時代の証言者求むという感じでしょうか。鈴の音に反応する谷ナオミお姉さん！キカイダーか！昭和を見るという感じですね。

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これもやくざ映画のパターンで、刑に服している夫を待つ水商売の妻の話。夫は借金があって、妻が体で返済をしているという、ポルノ版背広やくざ映画なんだけど、ラストの佳境で雰囲気が少し変わって面白くなる。
夫のつけていた鈴の幻想。所詮、死者を思うマゾヒストには勝てないサディストたち。夏の歩行者天国で谷ナオミだけが日傘と和服で違和感のない、周囲の空気を支配する魅力を放つ。稀代の女優の力。