公開当時は「今さらレスリーがホラー映画に…」と敬遠したが、改めて考えると彼は『チャイニーズ・ゴーストストーリー』や『白髪魔女伝』に出演してきた経歴があり、さらに盛り上がるエイジアン・ホラーブームを鑑みたうえでの受託だったのだと、納得した。
カイコ―やカーウァイ映画を経て洗練された物腰、丸顔と撫で肩のシルエットが、何ともチャーミング。
かと思えば、不気味な照明に端正なマスクを思い切って委ねる場面もあった。
本作の制作前後で鬱病が深刻化していた背景に思いを馳せると、何とも切ない。
後半は下世話なホラー描写満載だが、冒頭で展開した「幽霊についての解釈」という筋を、最後までビシッと通す品格は残している。
メインキャラふたりにまつわる2段構えの構成も、凝っていた。
またレスリーとリー・チーホンのやり取りを映す何気ない場面が、香港らしく軽妙。