カテリーナ

駆込み女と駆出し男のカテリーナのレビュー・感想・評価

駆込み女と駆出し男(2015年製作の映画)
3.6
私の癖はキャストで映画鑑賞を選択するところ 今作は大泉洋や戸田恵梨香のふたりに
引っかかっていたが
いつの間にこんなに演技派になったのかと見直すきっかけとなった
特に戸田恵梨香には驚いた
流石原田眞人監督である
女優の演技力を引き出す力に改めて
感服した
『クライマーズハイ』のまだ注目される前の尾野真千子の名前を誰もが胸に刻んだ
男臭い殺伐とした中で骨太な存在感を示した彼女の低く意思のある声と表情
今作では戸田恵梨香をただの田舎娘ではなく頭の良い機転のきく芯のしっかりした
傍若無人な夫からの暴力に耐えた薄幸な娘を体現させた
大泉洋のコミカルな部分も消すこと無く
『赤ひげ』の加山雄三を彷彿とさせる
医学に情熱を燃やし、心根の優しいところを嫌味無く演じる素晴らしさにヤラれる
とりわけささくれ立った心を隠そうとしない戸田恵梨香への顔の傷を直したい一心で
諭す言葉に自分も癒される

この駆け込み寺にはおよそ二千人の女性が
救いを求めてその門を潜った
それ以上の数の同じような不幸な境遇の女性が存在していたと確信している
時代と日本の女性の性分であろう
我慢強さのせいだ
その数に愕然としながらも
その半分の数は少なくともこの作品で描かれるような笑顔で日々を過ごしたと
信じたい
カテリーナ

カテリーナ