ひろぽん

博士と彼女のセオリーのひろぽんのレビュー・感想・評価

博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)
3.7
理論物理学者として世界的に有名なスティーヴン・ホーキング博士の半生を描いた伝記映画。ASL(筋萎縮性側索硬化症)を発症して闘病生活を送るスティーヴンを理解し愛しながらもジョナサンを愛してしまうジェーンと、闘病生活に苦しむスティーヴンの苦悩と葛藤を中心に描く。学者としての偉業よりも、長年連れ添った妻との関係に焦点を当てたホーキング博士の実話に元にしたお話。


宇宙やブラックホール、量子論の謎を研究していたことで知られているスティーヴン・ホーキング博士の伝記。

実話をベースにしたお話だから、ただの綺麗事では終わらない人間味のあるリアルさがほろ苦く切ない。

21歳でASLを発症し、余命2年を宣告されてから、50年以上も生き続けることができたのは、間違いなくジェーンをはじめ周囲の人達のお陰なんだろう。

お茶目な一面があり、病気になってからも周囲の友人が変わらず接してくれたり、ジェーンが病気と分かっていても愛してくれ結婚し、3人の子宝にも恵まれ、長年の結婚生活を送る事ができたのは、スティーヴンが本当に魅力的な人間だからなんだろう。

パーティーでのキラキラした2人の出会いから結婚するまでのロマンチックな雰囲気がとても素敵。ASLを発症し、ジョナサンが介護の手助けに来るようになってからも皆仲良く暮らしていたのがエモかった。

病状が進行していく中で、時を経て徐々にジェーンの表情の輝きが消えていくところからが切ない。

“いつも眼鏡が汚れている”と言って拭いてくれるジェーンとスティーヴンのシーンがとても素敵。

多くは語らず、絶妙な表情や行動の変化で魅せていくところが巧み。前半と同じ台詞や同じシーンが後半にも使われているが、同じものでも絶妙なニュアンスの違いを感じられる点が味わい深く切ない。

終盤のスティーヴンとジェーンの大切な思い出が逆再生されるシーンがとても好きだしお気に入り。

スティーヴンの話でありながらも、ジェーンの心の葛藤の話でもある。ジェーンが長年支え続けてした事に愛を感じる。お別れの時の涙にはどんな意味がこもっていたんだろう?

何よりもエディ・レッドメインの役作りが凄すぎて半端ない。見た目はホーキング博士そのものであり、振る舞いが完全に病気で身体を動かすことのできない人だった。顔の角度から身体の向き、足の動かし方まで、本当に病気に蝕まれていく人を見ているドキュメンタリーと思えるほど素晴らしかった。

生きる事を諦めず、大切な人を愛し、好きなことに没頭して生きるスティーヴン・ホーキングの人生を歩みを見ると、希望がもらえる。

愛とは何なのかを考えさせられる作品。


“There should be no boundaries to human endeavor.
However bad life may seen,
where there is life, there is hope.”

「人間の努力に限界はありません。
私たちは、
一人ひとりみんな違う存在です。
どんなにひどい人生に思えても、できることは必ずあります。
生きているかぎりは希望はあるのです。」
ひろぽん

ひろぽん