エディ

パレードへようこそのエディのレビュー・感想・評価

パレードへようこそ(2014年製作の映画)
4.3
労働者に冷たかったサッチャー政権下のイギリスで、閉山に反対する炭鉱労働者達のストライキを支援する同性愛者と、炭鉱夫たちとの友情を描いたヒューマンドラマ。ゲイと炭鉱夫という異色の組み合わせだが実話のようだ。

時代は1980年代のサッチャー政権のイギリス。不況のため多くの炭鉱の閉鎖を発表したサッチャー首相に抗議するために各地炭鉱夫たちがこれに抗議したストライキを実施していた。
一方、超保守的なサッチャー政権はゲイの人権も抑圧していたので、ゲイたちはゲイの権利向上のためのデモを行っていた。あるとき、ゲイのデモをしていた主人公たちは、炭鉱労働者も自分達同様に抑圧されている仲間じゃないか?彼らの方が命にかかわるくらいに大変なんだったら、自分たちが出来る範囲でサポートしようじゃないかという考えで募金発動を始める。
集まった募金を各地の炭鉱労働組合に持ちかけるが、「ゲイ」と聞いてみなしり込みするが、一つだけ受け入れてくれるところがあった。それがスコットランドウェールズの僻地の炭鉱であるディライスだった。
そして、ゲイの人権向上を求める団体と炭鉱労働者の組合の交流が始まることになった。。。

ゲイたちが炭鉱労働者への募金を始めたきっかけは決して高尚なものではなく、炭鉱労働者の労働で自分達が電気を使えるので、お互いサッチャーに苛められている立場だから応援しちゃおうか的な軽いノリだ。なので、最初はメンバーもあまり本腰が入っていない。
そもそもゲイからの募金を受け入れたディライズ組合は、ゲイへの理解から受け入れたのではなく、遠い電話だったので「ゲイ」という声が良く聴こえずゲイの連中の支援とわからなかっただけだ。

なので、最初の出会いは超気まずい。しかし、先入観を捨てて接すると、「いかついと思った炭鉱夫の優しさ」、「得たいが知れない気持ち悪さ」と思っていたゲイがすごく普通の良い奴等だとお互いが理解していくのだ。

勿論、すんなりいかず、なかには酷いことを言う奴もいるし、メンバーが挫折することもある。

しかし、最後は「お互い苦渋を味わっている同士」として認め合うのだ。

クライマックスのゲイのパレードのときやエンディングで紹介された実話の字幕を読んだときは涙が止まらなかった。

日本より性に関して進んだ価値観がありそうなイギリスだが、映画を観る限りでは自分とあまり変わりがないようだ。そんな堅物の連中が受け入れ共感してくれる姿に感動した。

この映画は登場人物が多いけど、正直言って一人一人はあんまり重要じゃない。

組織と組織、立場が違うモノたちが理解しあうさまを見事に描いているからだ。

自分は同性愛系の映画は好きじゃないので、最初は主人公たちに違和感を持って引いて観ていたが、途中からすごく感動して心に染み入った。

良い話だなってつくづく思った。
エディ

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