うっちー

ポイントブランク 標的にされた男のうっちーのレビュー・感想・評価

3.9
ちょっと前の作品だが、予想以上に面白かった。こういう一筋縄ではいかない、起伏のあるストーリー大好き。また、撃ち合い、飛び降り、ナイフ、肉弾戦での首絞めにカーチェイスなど、あらゆるアクション要素を駆使してる感じも。

元傭兵で腕っぷしの強いヨフンが謎の他殺現場に巻き込まれ、事情もわからぬままに容疑者にされ、逃げ惑ううち、同じく巻き込まれ、身重の妻を連れ去られた医師、テジュンと協力し合い、本物の黒幕を暴き、追い詰めてゆく、というストーリー。
キーになってくるのが、韓国ノワールではダメか悪で知られる韓国ポリスで、今作でもかなり華麗にその両方の要素を見せつけてくれます。だけど今作では珍しく女性刑事が複数登場。ポリス内部の複雑な力関係や厳しい環境を象徴するような使われ方で、ちょっと切なくなります。

最近俄然推しのリュ・スンリョンの男臭く強靭な魅力を余すところなく体現できる役柄で、本作は本当に素敵。刺されても撃たれてもなかなか死なず、傷さえも自分でケアしようとする胆力もさることながら、最初ホントにちょっと悪人風に見えるのに実は全く正反対の家族思いの兄貴だというギャップたるや!
※弟と愛犬との回想シーン、良かったー。ホントにふつうの優しくしっかり者の兄、というのがわかるシーン。後からの悲劇に響きます。

また、ヨフンと協力しあってゆく医師、テジュンを、スンリョンと全く違うタイプの坊ちゃん風イケメン、イ・ジヌクを当てていることで、対照的なふたりの追跡劇としての面白さが増す。救急診療しただけで、なんも悪くないのにいつしか狙われてしまうなんて、かなりのとばっちり。そんな不運の苦悩が似合うジヌク、なかなかでしたし、その奥さんと、彼女を拉致したヨフンの弟役とのエピソードも良かった。

ふたつの顔を使いこなす悪人役のイ・ジュンサンの憎らしさ、いやらしさも抜群で、途中何度かゾッとする場面が。あの白くてつるんとした顔と、裏腹の狂気にゾクゾクしました。

それまでの壮絶さからするとかなり甘いラストですが、後味の良さというのではあり。ふたりの笑顔が見れてよかったー。

リメイクということですが、元はどこの映画なのか、ちょっと気になります。



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