結湖

おみおくりの作法の結湖のレビュー・感想・評価

おみおくりの作法(2013年製作の映画)
3.5
私の祖母が92歳で他界したとき、お葬式の弔問客が多く、式場の人が驚いていました。
高齢で亡くなると故人の友人、知人、家族ですら先に亡くなっていることも多く、さらに疎遠になったりもして、ひっそりと行われることが多いのだそうです。
祖母は至って普通の人で、地元の名士でもないただの田舎のおばあちゃんです。
偲んでくれる人がたくさんいたということは、とても幸せなことなんだなぁ、って、この映画を見て思い出しました。
民生係のジョン・メイ(エディ・マーサン)は身寄りもなく孤独死した人を弔う仕事をしていて、自身も独身で身寄りがない。彼は故人の身元を調べ、故人がどんな人生を送り、その過程でもし親類や友人につながれば葬儀に参列するように呼びかけます。
その仕事ぶりはとても丁寧で誠意をもって務めているのがわかります。仕事ぶりと同じで、彼自身の生活も物静かです。
突然、解雇を言い渡され、最後になった仕事は自分が住んでるアパートの向かいに住んでいた男を弔うこと。
世の中にはこんなにも人間はいるのに、誰一人として同じ人生を歩む人はいません。あたりまえだけど、普通に生活していると忘れがちです。
どんな人と出会い、どんな関係だったか、その友人や家族はその人が亡くなったと聞いたとき、どんな感情を持つのか。
葬式というのは、残された者が次に進むための一区切りをつけるもので、実は生きている者のためにあると思います。ちょっと、自己満足っぽいけど、きっとそれも真実。
だけど、この映画はそれだけではないことを教えてくれました。
2016/03/18:DVD
結湖

結湖