LalaーMukuーMerry

脳内ポイズンベリーのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

脳内ポイズンベリー(2015年製作の映画)
4.3
とても楽しい作品でした。
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三十路を迎えた作家志望の女(イチコ)と、美大卒フリーターで年下の彼氏(サオトメ)とのラブストーリー。というよりは、いろいろな恋愛局面でイチコの脳内キャラ達が繰り広げる恋愛会議の様子を描いたコメディ。「インサイドヘッド」は成長する子供の頭の中の話でしたが、これは大人の女性の恋愛に絞った頭の中。脳内キャラもテーマにふさわしい個性派そろい。
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***脳内キャラ達***
吉田=多数意見に流されがちな議長(理性、知性)
池田=ネガティブ思考(悲しみ、嫌い、怒り・恐れ)
ハトコ=ときめき
石橋=ポジティブ思考(喜び、好き)
岸=記憶係
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おもしろいのは、ときめきのハトコの存在と、ほんの稀にしか出て来ないけど脳内会議の議論をちゃぶ台返ししてしまう強力爆弾キャラの存在。恋愛には普段の殻を破る思い切った行動を起こさせる脳内クーデターが必要なのだなと妙に納得。
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脳内会議の激論がストーリーの半分だから、実際にはごく単純なお話なんだけどね。序盤はやっとの思いで幸せをつかんだ感が実にうまく表現されてた。中盤は恋愛にはつきものの波風が立つプロット、超重大な緊急決断を迫られる展開に慌てふためくキャラ達…、そこに思いがけずまたもや脳内クーデター…。見事に転調して終盤は、こんな筈ではなかったという切ないお話し。
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ラストの名言はちょっと心に響く
自分を好きにならないと、幸せにはなれない。 だから…
自分が好きな人よりも、その人といる自分が好きになれる人
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ニット帽の真木よう子が、脳内会議に操られてる人形のようで可愛かった。この次は彼氏の脳内会議も見せてほしい(特に越智さん)。もっとぐちゃぐちゃでしょうね…