三流

セッションの三流のレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.5
何かを極めるには、ここまでしないと極められないものなのでしょうか・・・。
でも何に関しても凡人の私的には、ある意味納得させられたところもあった作品でしたよ。
努力とか才能とかそう言ったものを超越した、もはや狂気と言える世界には、もう何だかんだで惹き付けられっ放しでしたね。
時代に逆行した暴言・暴力・虐待の限りを尽くしたスパルタ教育、リアルではないのでしょうが、役者の演技の凄まじさで妙にリアルに感じてしまうぐらい、自分が罵倒されているような感覚に陥ってしまうぐらい、見ている側もグッタリのド迫力音楽スポコン作品でした。

しかしプロは人間性も問われることが何かと多い今の世の中で、気持ちいいぐらいクソ人間な2人が織り成した師弟バトル・音楽バトルは、凄すぎてむしろドン引きするレベルでしたけど、ラストの展開はもうホント鳥肌物でしたよ。
ニーマンとフレッチャーは何だかんだで似た者同士の2人だったのかな、狂気の末にたどり着いた結末には唖然茫然、でもただ紆余曲折の末に高みに達する映画よりも、これは断然惹きつけられました、二転三転どう転ぶのか予想不可能な展開に、胃がキリキリしてしまいましたけど、興奮しましたねぇ、これはとにかく凄いとしか言いようがない映画でした。
ジャズもドラムも詳しことはよく分かりませんけど、指導者とドラマーの音楽での殴り合いは、一見の価値アリな作品だったと思いましたよ、人としては本当に最低過ぎて胸糞悪くなりましたけどね(苦笑)

それにしても、オスカーを獲得したJ・K・シモンズは噂に違わぬ素晴らしい演技でしたね、今までは正直よく見かける味のある脇役のおじさん俳優でしかなかったのですが、このドSっぷりはまさしく映画史に残る鬼指導者ぶりでした、上げてから奈落の底へ突き落す底意地の悪さ、突き抜け具合がとにかく凄かったです。
主演のマイルズ・テラーも負けじと応戦、死んでもおかしくない状況にはおい!と突っ込みたくもなりましたが、血塗れでドラムを叩く姿にはもう圧倒されっ放しでしたね。
まあ見ていて気持ちのいいものでは無かったですが、崇高な音楽映画とは一線を画す、精神崩壊極限を垣間見た秀作映画でした。
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