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百日紅 Miss HOKUSAIの創のレビュー・感想・評価

百日紅 Miss HOKUSAI(2014年製作の映画)
3.5
葛飾北斎自体もお栄さん自体も、とてもドラマチックな人だと思う。
でも、特別ドラマチックな事は起こらなくてむしろ淡々と日々の営みが続いていく。

淡々とはしているのだけど、ふと主人公が目を上げたその先に広がる江戸の世界とか、
何気なく見ていた物がだんだん恐怖をはらんでくるのとか、
時々、観ていて不思議なところに引きずり込まれる感じが心地良くもある。

江戸の人にも恐怖はあって、それは今の時代とは少し違うもので、
かつ、江戸の人には今の時代の人には見えないものが見えていたのかもしれない。

妖怪も身近に存在するものだったのかもしれないし、北斎の絵も他の浮世絵も今とは違って見えたのかもしれない。

お栄さんの声は、意外なほど心地良かった。
喜怒哀楽を出すのが苦手で、棒読みみたいに喋る人、実際にいるし。
そういう人が不意に出す感情がたまらなく響くことってある気がする。
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