ケーティー

ボス・ベイビーのケーティーのレビュー・感想・評価

ボス・ベイビー(2017年製作の映画)
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※日本語吹替版にて鑑賞。

アクションありコメディありの面白さもありながら、普遍的なやさしいテーマを謳い上げる作品。


想像以上にボス・ベイビーの設定がよく出来ていて面白い。本作の着想の面白さは、逆のものをやらせるだけでなく、その逆のものに本来のものとの共通点を見出だしたことだろう。映画を観てまず面白いと思ったのは、不当な要求をし高圧的な会社の中間管理職という役どころをまずはあかさず、それでいて、普通の赤ちゃんの行動にそれをつなげたことである。たしかに、赤ちゃんは両親の疲れなどお構いなしに泣き、ひたすら要求を続ける。その姿を、理不尽な会社の管理職に重ね、子どもの視点から家にとんでもないやつがやってきたと描くあたりは流石。
また、その後の展開も、吹替版のムロツヨシさんの名演も合間って、なんともそのやり取りや挙動が可笑しい。

ただ何と言っても白眉は、終盤のボス・ベイビーのオフィスでのシーン。散々仕事しか考えてないなど言われていたボス・ベイビーが、いざ昇進してみると何もないことに気づく。その中高年の悲哀は、子どもよりもむしろ大人に迫ってくるものがあるだろう。そして、その後での小包みを開けるシーンは素晴らしく、絵も綺麗で、それでいて、前半のフリが効いていてテーマを謳い上げるいいシーンになっている。

意外と予定調和で中盤はやや似た展開が続く感もあるが、全体としてはアクションがあり、鮮やかで躍動感のある作品。それでいて、今ある幸せや愛は人に分け与えることができるという普遍的なメッセージが心地よい良い作品である。